[呪いのDVD]
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C「ちょっと!あや子!なんなのよコレ!?」
彼女の動揺は半端じゃなかった。DVDをデッキから取り出し、みんなの目の前で
ディスクを割ってしまった。
「おい!何すんだよ!」
そのあと彼女を何とか落ち着かせて、話を聞くと、あのエクササイズはある儀式の踊り
なのだという。彼女は言った。
「・・・話だけでは知ってたんだけど、初めて見たわ。あれって、言ってみれば呪い
のたぐいなのよ。映像で床に大きな丸とマークがあったでしょ?アレ、魔方陣みたい
なものなの。人を呪い殺すものなの。しかも自分が一番大切に思っている人を・・・。
コレ、危険よ。」

Dあや子ちゃんは、知らずにDVDを購入し、知らずに呪いを行わされていたわけだ。
しかも、呪う対象は、愛する自分の母と弟・・・。
「は“あぁぁぁぁぁぁっっつつつ!」 あや子ちゃんが突然絶叫し、泡を吹いて
その場に倒れた。病院に運ばれたが、即死だった。遺体解剖の結果、彼女の胃と腸から
ヒトの脳組織が発見された。

E〜後日談〜
あのDVDを見つけた。しかも、彼女の棚から。ジャケットは違うものに変えられていて、
簡単に見つからないようになっていた。おれは彼女に問い詰めた。
「なんでお前が持ってんだよ!?」
「最近はじめたの。ダイエット。DVD、買っちゃった。」
映像は、踊っている人物と床のマークが違うものの、踊りはほとんど同じだった。
「コレ、お前が危険だって言ってたやつじゃんか!」
「え、そう?気づかなかった・・・」
彼女は少し上の空だった。ソワソワしだし、嘘をついているとわかった。
「お前・・・まさかコレ見て踊ってないよな・・・?」

Fなぜ彼女が持っているのか、いったい何のDVDなのか、しつこく問い詰めると、
彼女は言った。
「怒らないでね・・・ここにあるのは違うやつなの。あや子のとは違って、自分が
嫌いになった人間を呪い殺すものなの。」
とつぜん携帯が鳴った。おれの携帯だ。
「おい!大変だ。」 友達からだ。
「タカシが死んだ!あんなに昨日まで元気だったのに!」
頭が・・・白くなった。彼女がうつむいて言った。
「ごめんね、黙ってたけど、タカシくんと浮気してた。でも、あたしは遊びだったのに
あいつったらしつこくてさ。嫌いなのよ、しつこい人って。」

G「お前・・・まさかタカシを」
「う、ごめん・・・」 彼女は手で口を押さえながら、小さくゲップをした。
臭いが漂ってくる。胃から臭う異様な、腐ったようなニオイ。
「あたしを許して。許して。・・・ちゃんと一番好きなのは、あなただから。」
ふと彼女ごしに、向こうの机に目がいった。あや子ちゃんが持っていたDVDの
ジャケットがある。一番大切な人間を呪い殺す・・・。

彼女はニッコリと笑った。目が、焦点が合っていなかった。
これからおれは、どうすればいいんだろう。


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