[ケイちゃん]
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霊能者は無理やり彼女を車に乗せ、息子のもとへ向かわせた。 「急ぐのよ!早く!」
運転中も携帯は鳴り続けていた。
家に着いて玄関を開けると、息子が携帯を片手に立っていた。
「お母さん、ケイねぇ、お邪魔しますって。」
お邪魔します?ただいまじゃなくて?
霊能者は、彼女と息子を連れて車を発進させた。
「奥さん、あんなモノ轢いちゃ駄目じゃない!・・・病院はどこ?あなたが担ぎこまれ
た病院よ!」
事故の被害者は、タカハシ・ケイという若い男性。当時、彼女たちと一緒に運ばれてきた。
すぐ亡くなったが、そのあと担当医は転勤。みな、ケイという人物について多くは語ろう
としなかった。むしろ、彼女と息子に対して冷たい視線が当たっていた。
「そのケイさん、供養しましょう。」 霊能者がそういった。
供養の儀式をしているとき、一人の看護士が彼女にそっと話しかけてきた。
「奥さん、オバコサマってご存知ですか・・・」
「はい?」
「この辺りの、ずっと昔からの古い・・・」 途中でほかの看護士に止められ、話し
は中断した。
その後、息子にケイと名乗る人物から電話は来なくなった。
彼女はその日も、いつものように仕事を終えて家路を急いだ。家では、夕食を待つ息子
がいる。家に着いて玄関のポストを見ると、封筒が入っていた。切手も何も貼っていな
い。封筒を開けると、手紙が入っていた。読もうとしたとき、携帯が鳴った。
「奥さん!」 霊能者からだった。
「いますぐ息子さんを連れて家から離れて!」 ふと手紙の文章が目にはいる。
『もしもし、お元気ですか。こっちも動けるようになりました・・・』
「ごめんなさい!被害者のケイさんは関係なかったのよ!問題はケイさんの中に入ってた
モノだったの!病院であなたを診察した医者はもう・・・」
『がんばって着きました。おかえりなさい。中で待ってます。』
「逃げて!あたしの力でも駄目なのよ!」
『お話しましょう。中で待ってます。ナカで待ってまああす。』
彼女はその場に立ちすくんだ。家の中から声がする。
「おおかあさん、おなかすいた」