[DQNと肝試し]

5年くらい前の学生の頃、友達のKが肝試しスポットの廃病院に行こうと言ったので
友達、後輩の5人でパーティー組んで冒険しに行く事になった。
途中のコンビニで懐中電灯買って真夜中の廃病院へ入る。
たたずまいはなかなかのものだ。外に面しているガラスがことごとく割れている。
尾崎ファンのKが尾崎の歌を歌い出した「校舎の窓ガラス割って〜」みたいなやつ。寒い
ぶち壊された入口から入ると、散乱したカルテやバラバラになった
ソファーの残骸なんかに混じって空き缶や空き瓶、紙袋とかのゴミがいっぱいだった。
奥へ進んで診察室の前を通ると、何か気配がする…
入ってみると、DQNが座って酒飲んでた。
男3人女1人、ゴツめの男(以下A)・ゴツめ、かつ目つきがヤバい男(B)・そいつらの
パシリみたいな男(以下C)・無口だけどかわいいDQNファッションの女(D)
という4人編成だ。
俺らのパーティーで懐中電灯を持ってるのは5人中3人、俺が照らした先は
ゴツめの男の腰のあたりだったが、ナイフかなんかの武器の柄っぽいのが見えた!
と思ったため、すぐにライトをよけた。ああヤバい…なんて思ってると
Kが、DQNに気さくに話しかける。もともとこいつもDQNぽい奴だし、
こういう奴らと話するのはうまい。以下、正確ではないが会話の内容
K「こんばんは、何してるんですか?」
A「ああ、肝試しよ、肝試し。その前にちょっとここで景気付けなんだよ」
K「俺達もなんですよ。ここ怖いっすねぇ」
A「あ?このくらいで怖い言ってたら肝試しなんかやらん方がいいよ
  何なら俺達が一緒に回ってやろうか?」
K「おー、いいっすねぇ、行きましょうか」
見かけによらず、フレンドリーな面々っぽいな…などと思ったが、
Kを除いた俺含むパーティーの全員が「Kの馬鹿野郎」と思った。

そういうわけで一緒に行動することになって少し歩いた時、俺は9人に増えたパーティーの
後ろの方を歩いてたんだが、後輩の一人がやってきて、俺に
「Sさん、あいつら絶対シンナーやってますよ!」と話かけてきた。
ヒソヒソとは言え、シーンとしてる中での声だったので俺はめっちゃ慌てた。
そいつを引き止め、さらに前に居るDQNとの距離を取ってから、
俺「馬鹿、声でけぇよ!」
後輩(以下W)「だって最初遭ったときにあいつら紙袋に口つけてスーハーしてたんですよ!?
  やばいですって!」
俺「マジか!俺はそんとき別のもん見てたから気付かなかった。あいつらナイフ持ってるよな
  あぶねぇ奴らだよ。K、軽いからなぁ」
W「ホントっすよ」
けど、そんなこと言っても突然逃げるのもなんか嫌だったし、俺とW以外の3人は
DQNの近くに居るから結局付いて行くことにした。
注意しとけば、ラリッた奴らが襲ってこようが楽勝とか根拠の無い自信みたいのもあったし。
前にいる奴らに追いつこうと歩きだしたとき、ふと後ろを振り向くと人影が見えた。
よく見るとDだった。俺は会話の内容聞かれたかもしれん…とビクビクしながら、
Dに(多分物凄いぎこちない)愛想笑いしてまた歩き出した。
追いついてみると、そこは婦人科の分娩室っていうのかな。そういうところで
分娩台とか流し台っぽいステンレスが置いてあった。
すると、分娩台の周りに黒いシャツと、血の付いたタオルが置いてあるのに気付き、
さらに見ると分娩台にも結構な量の血がこびり付いていた。
A「あ、俺のシャツだ。やっぱり前ここ来たとき置いてったか」
B「ばーか、お前が先に出てったからそのシャツ、タオル代わりに使ったよ」
A「何だと?あ!血だ!てめぇ!!!」
もう殺し合いでも始まるかってくらいの雰囲気だった。これには流石のKも引いてる。
そこで、Wが口を開いた。
W「あの…ここでなんかあったんですか?」
Wは普段は真面目で華奢な好青年だが、こういう所で肝が据わってると思った。
しかし、空気読め…そう思ったら、BがWの方に持ってる傘を投げつけた。当たらなかったが。
B「そうなの。俺達ここで女犯したんだよ。処女だったよなぁ○○?(多分Aの下の名前)」

続く