[体内の異物]

当時Aさんは二十歳。丁度五月の気候のいい季節で、家族や親戚で
田植えに精をだしていました。土手で一服して昼食を食べた後、
Aさんは程よい疲労感に包まれ、心地いい風が吹く中で、いつのまにか
熟睡していたそうです。
…彼女に迫っているものの気配に気付かないほどにぐっすりと。

小一時間ほど眠った後、Aさんは、再び作業に取り掛かりました。
そして、そのまま数時間が経ち、気付くと空は夕焼けになっていました。
今日はここまでにするかと、父親の言葉で解散となり、皆それぞれの家に
帰って行きました。

それから数日後、Aさんは下腹部に妙な違和感を覚えだしました。

しばらくの間ずっと下腹部の違和感が続いたため、
不安になったAさんはその症状を両親に訴え、町の病院まで行きました。

医者は、念のためにと撮ったレントゲン写真を見て、怪訝な顔をしました。
下腹部に、明らかに人間のものとは違う、なにかの骨が写っているのです。

早急に詳しい検査をしたところ、彼女の膣内に小さな蛇が発見されました。
蛇はすでに死んでいましたが、これには病院内も大騒動に。
もちろんAさんも大変ショックを受けました。

「なぜ蛇があんなところに!?」
考えている内に、Aさんはあることを思い出しました。

そうです。あの時、土手で熟睡している間に、Aさんの中に蛇が侵入していたのです。
緊急手術で蛇を取り出したそうですが、彼女にとっては
死ぬほど洒落にならないくらい恐かったそうです。


次の話

Part165menu
top