[別荘の怪]
小学生の頃の体験話 
当時母方の祖父母は温泉地で有名な某所で別荘の管理人をしていた。 
観光の美観を損わないようにと高いビルなんかなかった地域だった。(今は知らないけど、とにかく田舎だった) 
山中で車なんて滅多に通らない、そんな場所に別荘はありました。 
他に別荘なんて行ったことないからわからないけど、そこの別荘地は個人所有よりも会社所有で建てている物が殆どでした。 
蛇口をひねれば温泉が出る!自然に囲まれ今思えば素晴らしい環境でした。 
じいちゃんは昔はこわい人だったらしいけど呆け気味で俺の記憶ではいつも「ヘヘヘ…」と笑ってるかわいいじいちゃんだった。 
だから別荘の管理は殆ど、ばあちゃんがやってた。(叔父さんも一緒に住んでたけど別の仕事してた) 
俺は長期休みになると毎年泊まりに行ってた。でも遊ぶ場所なんてなかったからばあちゃんが別荘の掃除に行く時はついていってた。 
前置きが長くなったけど、ばあちゃんと別荘Aに行った時の話です。 
俺の記憶では一番でっかいのが別荘Aだった。玄関を入ると広いリビング、左に行けば長い廊下に左右に寝室が8部屋位あったと思う。 
地下に中浴場?男女別で風呂があったのは別荘Aだけだった。 
坂下にあり木々に囲まれているせいか雰囲気が暗いちょっと怖いイメージの建物だった。 
ばあちゃんが風呂の掃除に行き俺はリビングにいたんだけど 
「ガタッ」 
突然寝室の方から音がして、ビビリな俺はビクゥゥッ!としたが、そういえば…… 
以前なぜか猫が別荘に入り込んでいたって話を聞いた事を思い出した。 
猫がいるのかもしれない!俺はワクワクしながら寝室の廊下へと向かいました。 
「ニャー」俺は猫が返事してくれないかなと思いながら「ニャー」もう一度呼掛けてみた。…静まりかえっている。 
廊下の半分位まで歩いて急に怖くなった。窓は雨戸が閉めてあり昼間といっても暗かった。 
ばあちゃんを呼んでこよう!引き返そうと思ったその時 
「ガタッ」 
また音がした。一番奥の部屋から聞こえた気がした。怖いけど猫がいるなら出してあげなきゃ! 
勇気を出して足を踏み出す…猫タンが待っている!怖いせいか足が前に進まない。 
急に空気が変わった気がした。とても嫌な感じだった。やっぱりばあちゃんを呼んで来よう… 
「ガタガタガタガタガタ」奥の右部屋の扉が激しく揺れだした。もぉガグブルです。猫じゃない!逃げなきゃ!!