[例の物音]
深夜になると、例の物音が始まった 
また始まったなぁと思いつつAの顔をチラリと見ると、Aもわたしの顔を見て頷いている 
そしてBは全く気づいてないようだ 
        
ところがなんとなくだが、普段と雰囲気が違う 
言葉では説明できないが、いつもの物音とは何かが違っていた 
何か変だなぁと思っていたところ、ゆっくりと階段を上がる足音が聞こえてきた 
流石にこれには肝を潰し、意識を足音に集中した 
ミシミシ・・・ミシミシ・・・と、明らかに誰かが階段を上ってきている 
そしてそのあたりから3人の会話が完全に途切れた 
聞こえていないBすら何故か話をしようとしなかった 
        
ゆっくりと近づいてくる足音 
そしてその足音はとうとう階段を上がりきったようで、今度は2階の廊下から聞こえてきた 
トン・・・トンと歩く音がする 
そしてその足音はわたしたちの居る部屋の前で止まった 
        
瞬間、物凄い緊迫感が走った 
明らかに何者かがふすま越しにこちらを見ている! 
その視線と気配に圧され、激しい恐怖に襲われた 
        
やがて気配が突然無くなり、妙な圧迫感は無くなった 
流石にこれは本気で怖かったので、Aに確認することができなかった 
        
Bには後日、このことを話してみたら 
やっぱりなにも感じてはいなかったとの事 
会話が途切れたのは偶然だと言っていた