[記憶]
ついこの前、6年前に事故った友達を救ってきた。 
6年前、その時俺は厨房で、 
友達5、6人とゲーセンか何かに遊びに行ってた。 
で、友達の一人が先に横断歩道を歩き出したんだけど、 
その瞬間に、銀のスカイラインが飛び出してきて、 
目の前で友達が事故った。 
突然すぎて、俺は何も言えず、唖然としていた。 
そんでこの前、眠りに付いたら、その時見た夢が、「6年前のその時」だった。 
夢なんだけど、なんていうか、記憶のビデオを見ている感じ。 
記憶どおりに俺自身も友達と喋ってたり、動いている。 
そして交差点の前に来た。 
記憶のとおり、先を歩いていた友達が横断歩道を渡り始めた。 
その時、ビデオを見ていたような感覚から一転して、 
当時の自分の身体に、今の自分の魂が乗り移ったような感じがした。 
とっさに、「待て!」と友達の腕を引っ張った。 
やはり銀のスカイラインが凄いスピードで目の前を通過していった。 
友達と抱き合うような格好になって、くっつきあいながらびっくりしていた。 
その時はすでにビデオを再生しているような感覚に戻っていて、 
「やべえ〜もうちょっとで轢かれるとこだったなぁ〜!」みたいな会話をしていた。 
それから目が覚めて、今見た夢の内容に驚きながらも、 
用事があったので支度をして家を出た。 
ふと向かいの家を見ると、銀のスカイラインが止まっている。 
確かに向かいの家は、もともと銀のスカイラインに乗っていたけど、 
そのスカイラインが、事故の時のスカイラインだと、直感的に思った。 
怖くなって、その場で、事故った友達に「お前事故ったことあるよな」って 
メールを送ったんだけど、「朝早くに意味不明なメールをするな」と否定された。 
どうやらそいつは事故ってないらしい。 
じゃあさっき見た夢は何だったのか。 
そもそも、厨房の頃に確かに経験した、あの6年前の記憶は何だったのか。