[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

[じいちゃんの話]
前頁

翌日朝、俺はまた縁側に居た。
昨日の事は夢だったのではないか?多分そうだ、ウチにあんなものがあるわけがない。
そう言い聞かせようとしていた矢先、じいちゃんがまた俺の向かい側に座った。
あまり見たくない人物だというのに。
「おはよう、じいちゃん。」
とりあえず挨拶をした。これで昔かたぎの人だから挨拶には五月蝿い。
どんなに不機嫌でも挨拶はしなくてはならない。
「おう、おはよう。」
じいちゃんも笑顔で返した、が、
じいちゃんは俺を見るなり両膝に両手を置いた。
そして


「○○○○○」



今、じいちゃんは何を言った?
俺「じいちゃん?」
じ「○○○○○」

俺はすぐにその言葉の意味が分かった。
間違いない、「アレ」の名前だ!
俺が記憶のブラックホールへ投げ込もうとしていた昨日の事が一気に蘇った。
夢などではない。
それどころかこの基地外爺は俺に「アレ」の名前を言いやがった。 
「お、分かったか?安心せぇ、この家におらんかったら憑かれんけぇ。
 あれはこの家からはでられんのんよ。」
などと呑気に笑い続けた。

その後すぐに東京で仕事を見つけてあの家を出たのは言うまでもない。

ちなみにじいちゃんはその二年後に亡くなりました。
嫌だと思いながら仕方なしに葬式に出るため実家に帰りましたが別に何も起こりませんでしたよ。
多分じいちゃんが俺を家から追い出すために嘘をついたんだと思います。


次の話

Part160menu
top