[愛の呪い]
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カーン カーンと何か響いたあたりで、武久が泣き出した。
打たれていた勢いが弱くなり、コツ、コツと音がなっていた。
「・・・千歳、早く・・・ゆっくり眠って・・楽に・・・」
武久はひたすら妹の名前を呼んでいた。
そこにあったのはちょっと変わっているけど、確かな兄弟愛だった。
小さい頃から身体の弱い千歳ちゃんを守ってきた武久。
千歳ちゃんが風邪で寝込んだときは、自分も学校を休んで看病した武久。
俺の中にあった、武久が妹を想った記憶が、いくつかよみがえった。
「千歳・・・千歳・・・千歳・・・」
武久は何度も釘を打った。俺たちはずっと見つめていた。
どんなに頑張っても助かることの無い妹を、助けるために、呪う。
俺にはよく分からなかった。
「ババさま、ちゃんと、千歳ちゃんを呪ってくれたかな」
と、妹は泣きながらつぶやいた。

次の日、朝起きると、もう武久は居なかった。
姉ちゃんに聞くと「大分早くから駅へ行った。手紙預かってるよ」と言った。
俺と妹は手紙を開けた。

アキとさつきちゃん

昨日はありがとう。俺のよく分からないわがままに付き合ってくれて。
俺は千歳の様子を見に帰るよ。
ちゃんと死んでたらいいな、と思う反面、何かの方法で助かってくれてたら・・・
って気持ちもある。
じゃあ、また来るから。そのときは変わらず宜しく。

    武久

いつものあいつの汚い字でかかれてた。
意外とあっさりした内容だったけど、俺らにとっては胸が締め付けられる思いの手紙だった。


あれから1週間ちょっと経ったけど、まだ武久からは連絡は無い。
ババさまがしくじったのか、神様が助けてくれたのか、
ババさまが成功したのか、神様が助けてくれなかったのか、
どれにしても、俺には忘れられない出来事となった。


とりあえず終わり。あー俺のあった出来事って全部終わりが謎だらけで
気持ち悪い・・・orz
読んでくれた人ありがとうございました。


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