[先客]
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車もその角を曲がり、Bの横に止まりました。
するとBはこちらを訝しげに見やり、また歩き出します。
あれ、気付いてないのかな?と思い、電話をかけると、Bはすぐに出ました。
「着いたけど…」
『あ、うん。わかるわかる』
しかしヘッドライトに照らされたBは校庭の方を見ていました。
再びCはBの横に車を停め、窓を開けてBを呼びました。
ようやく気付いたBは、驚いた表情でCを見ています。
「おまえ無視すんなよ」
「あれ?Cだ」
「気付いてなかったのかよ!…まあ、早く乗れ」
「え?なんで?」
「皆コンビニにいるんだよ」
「はあ? だってAがあそこにいるじゃん」
私とCは思わず顔を見合わせてしまいました。会話が噛み合っていない。
だって私はここにいる。
彼女は誰の事をいっているのでしょうか?
「B!あたしここにいるよ!?」
「………え?じゃあ、あれは?」
素頓狂な声を上げたBに、私は底知れぬ恐怖を感じた。Cも同じだったに違いない。
Bに急いで乗るよう促して、Cは車を発進させた。
私達以上に状況が理解出来ていないBに、私は集合場所が変わったというのは嘘で、他のメンバーはコンビニで待機しているということを説明した。
Bはその嘘に怒る様子もなく、黙って聞いていた。
そして、先程の出来事を話出した。
中学校に着いたBは、とりあえず私達の携帯に電話をした。
しかし、誰も出ない。
皆プールに入っていて気がつかないのかな?と思い、最後私に電話をかけると、電話に出て、「もうプールに入っているから」、と聞き、電話を切った後に、敷地内に入ろうとした。
目の前の門は、なぜか少しだけ開いていたらしい。(人間が一人通れる位)
(ちなみに私が見た時は閉まっていました)
そこから入ろうとして、ふと思いとどまった。
静か過ぎる。
水音も声も聞こえない。
前記にもあるように、周りはとても静かで、少し遠くの音でも良く聞こえます。
Bは敷地内に私達の姿がないか確認しながら、歩みを進めた。
続く