[妹は強し]
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ガキ連れてきてるよ
言われて気づいた。昼間妹が煙草を投げつけたことを。
俺の顔をかすめ、煙草は何かに当たって落ちた。何か?何に?
俺は手すりにもたれ掛かってたから俺の後ろには何もない。煙草は一回まで落ちるはずなのに何かに当たり、跳ね返って俺の足下に落ちた。
気づいてぞっとした。
その日は妹に頼んで妹の部屋の床で寝た。
何日かして登校日だったので学校へ行くと友達が笑いながら寄ってきた。
やったな!
なにを?
友達は一枚の写真を俺に見せた。
あのリビングで撮った写真だった。
ぼけっと立つ俺の右で、小さな男の子が俺を見上げていた。
その子の手は俺の手を握っている様に見えた
やったな!なんか体調悪いとかない?
友達は嬉しそうにはしゃいでいた。
鬱になりながら家に帰ると和室の戸が開いていた。
おそるおそる中を覗いてみると、暗い和室で妹が一人で立っていた。
隣家から預かっている日本刀を持って。
俺は戸を閉めた。なんだあれは?なにやってるんだあいつ?
俺はびびりつつ戸を開けた。
妹は俺の顔を見ると、言った。
おかえり。今日から一人で寝ても大丈夫だよ
その日から視線も感じなくなった。
妹が何をしたのか俺は知らないし知りたくない

ちなみに俺は何度か妹に泣きついたことがあるが妹がもう大丈夫と言う度に怪現象はなくなった。
妹が何をしているのか分からない。
分かりたくない。
一度何をしてるのか訪ねると妹は笑いながら首を絞めるジェスチャーをしてみせた。
その瞬間窓が叩かれて妹がうるせーよ殺すぞ!
と一喝すると電気の紐が揺れて外で何かが逃げる気配がした。
俺は妹がたまに怖くなる。
ちなみに妹に彼氏が出来たためしはない。
つきあってもすぐに別れる。
すぐに。数日以内に。
ある日町で家に連れてきたとたん逃げ出した元彼と会ったので別れた理由を聞くと夢を見たと言う。
夢の中で妹は黒い靄にひたすら鉈を降り下ろしていた。笑いながら。
怖くなってつきあうどころじャなくなる。らしい。
ちなみにナントカ包丁はいまだにうちにある。
名前も覚えてるんだけど知りたくない詩忘れたいから書かない。


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