[一族を狙うモノ]
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急に、物凄い力で足を掴まれて、私の体はそのままズルズルと引っ張られました。
二段ベッドだったので、ベッドの後ろ側にも柵があるはずなのに、ありえないところまでズルズル
引っ張られていて、しかも引っ張った体を足を掴む手はブンブンと上下に振り回すんです。
そこで初めて私は目の前に、うつ伏せになっている自分の頭が見えました。
幽体離脱は初めてだったのと、明らかに足を掴んでいる何者かによってむりやり引っ張り出されて
しまったんだと思ったので、必死にシーツを掴みました(何故か掴めたのです)。
しかし、そのシーツごと引っぺがす勢いで、私の足を掴む手は私を引っ張りました。
そしてそのまま天井近くまでひっぱり上げられて、私は眼下に自分の寝てる姿が見え、「私はもしや
このまま死ぬんだろうか」と思いました。
その時、丁度またあの笑い声が響き始めました。私の体を振り回す力も一層強くなります。
私はこのままだと死んでしまうかも、と思い、心霊体験の本の話を思い出して「私は絶対に貴方とは
一緒に行かない!」と心の中で叫びました。
すると、笑い声が唸り声のようなものに変わりました。
人の声というよりは、犬の唸り声みたいな声でした。
「見てはいけない」とは思ったのですが、私は私の足を掴んでいるのは何者なのか知りたくて、
首だけを後ろに捻って振り返りました。
すると、そこにはガリガリに痩せた女の人?がいました。
黒いボロボロの裾の長いワンピースみたいなものを着てて、肌は灰色っぽくてしわしわ、でも
目は凄く大きくて、黒い髪はもしゃもしゃにもつれたまま逆立っていました。
人間?なのかも分からない感じです。全体的に黒い糸がくちゃくちゃに絡まって塊になっている
みたいな、そんな印象の姿でした。
彼女?は唸りながら尚も私の足を引っ張っていました。
私は心の中でただただ「絶対行かない、絶対行かない」と繰り返してました。
そのうちに、いつの間にか恐怖と緊張の糸が切れてしまったのか、ふっと記憶が途切れました。

目が醒めたときには朝でした。私は自分のベッドで普通に目が覚めました。
思わず「夢だったのかな」と思ったのですが、私の両手はしっかりとシーツを握ってました。
怖くなって母の所に行き、背中を見せたら赤い爪跡みたいな傷が十個、しっかりついていたそうです。

母に一部始終を話したら、母もその女の人?を見たことがあるそうです。
母の時は、高熱を出して寝込んでいた時の夢の中で、布団を中心にその女にひたすらグルグルとずっと
追いかけられ続ける、というものだったそうです。
必ず皆、その夢を見るそうなのですが、私のように連れて行かれそうになったのは多分血族の中では
初めてのようです。
母や母方の祖父、曽祖父にもその話をしたら、「もしかしたら次の代で何かあるかも」とのこと。
一応お払いには連れて行かれたのですが、どうなるのか分かりません。
私は今独身なのですが、もしも子供を産んだら一人目を失って、二人目も自分と同じ目に遭うかも、
もしかしたら今度こそ本当に連れて行かれるのかもと思うと凄く怖いです。
とりあえず、それ以来寝室にはお札を置いて盛り塩をして寝るようにしました。
しかし、その効果なのかあるいはあれが何かの契機なのか、それ以降金縛りには遭っていません。


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