[一族を狙うモノ]

高校の頃の実体験です。心霊体験は実はいっぱいしてるんですが、命の危険を感じたやつだけ投下。
長くなるかもしれません。

私の母の家系は、第一子が短命、第二子には霊的な力が多かれ少なかれ出ます。
私の母も私も第二子なので、その法則に漏れず見える人になってしまいました。
私の母は血縁者の死期が見えてしまう人で、私は多少なのですが予知夢みたいな力があります。
そんな私達は当然のように心霊体験をしてしまって、特に思春期には金縛りに悩まされました。

初めての金縛りはただただ恐ろしかったのです。
しかし、私達の血族の第二子は皆通る道であり母も経験者だったこともあって、いつしか金縛りにあっても
「あ、またか」と思う程に慣れてゆきました。
ただ母に、「絶対に金縛り中に目を開けてものを見てはならない」と言われていました。
なので、私は万一目を開けたまま金縛りにあっても恐ろしいものを極力見なくて済むように、うつ伏せで眠る
ように心掛けて、その夜もうつ伏せで眠っていました。

すみません、下げ忘れました。そして続きです。

その夜も、いつもの様に金縛りに遭いました。
最初は「あ、またか」と思っていたのですが、その夜はどうも何かが違うような気がしました。
何故か、腰の辺りが酷くどーんと重かったのです。まるで、誰かにまたがられているみたいに。
それを意識した途端、唐突に冷や汗が出てきました。真夏だったのに、動かない体が急激に冷えてきたんです。
「これは、まずいかも」と思った途端、私の腰の上にまたがっているその何者かが、私の腰の上でドスンドスンと
腰を上げたり下げたりし始めました。子供がまるで遊んでるみたいな、そんな感じでした。
背中にも、いつの間にか誰かが爪を立てて手を乗せる感覚がありました。
何故かは分からないのですが、直感で女の人だな…と思いました。
私は心の中で「なんまんだぶ…」と念仏を唱えました。金縛りには慣れていても、金縛り中の遭遇は初めてでした。
とにかく怖くて、必死で念仏を唱えました。すると、急にピタリと、何者かの動きが止まりました。

ホッとした瞬間、甲高い笑い声が聞こえてきました。
男なのか女なのか分からないほどキンキンした、金属的な笑い声でした。
ゾッとした瞬間、私の頭を爪の長い手がゆっくりと撫で回し始めました。
最初は凄く優しく、でも徐々に力が強まっていくんです。髪の中にまで指が入ってきて、頭皮をまさぐる
みたいにワシャワシャと、でも物凄い速さで私の頭をその手は撫で回していました。私の腰にまたがって。
かがみこんでやっているのか、首筋や頬のあたりに、髪の毛みたいな感触を感じました。
その間も、ずっと甲高い笑い声は続いています。
私はあまりの恐怖に念仏を唱えることも出来ずに、ただただ時間が過ぎてゆくのを待ちました。
時間が経てば、今まではどんなに長い金縛りも必ず解けたからです。
だから、今回もじっと恐怖に耐えていれば、いずれいずこかへ去ってゆくだろうと思いました。
実際はほんの数分だったと思うのですが、私は笑い声と手の感触に怯えながら金縛りに耐えました。
すると、突然腰の重みがなくなり、ふっと手の感触も髪の毛の感触も、笑い声さえも消えてしまいました。
その瞬間金縛りは解け、私はほっと息をついて目を開けました。

その、次の瞬間でした。

続く