[救済させろ]
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強引に店を出て、急いで車に向かう私のバックの先にはKがしつこくくっついていた。
私『手をはなして!』
K「うっちゃんが私の話を聞いてくれるまで離さない!」
もう、もう、恐怖で一杯な私。日常生活において、必死になる事なんてそうそうないのだが
思いっきりバックを引っ張ってKから離れた。
走って車に向かい、運転席に乗り込み、ドアを閉めようとした瞬間、Kが体をドアの間に挟み
Gちゃんがドアを掴んで思いっきり開いた。
夜の駐車場で街灯の明かりが逆光になっていたのだが、二人の表情が妙にしっかり見えた。
血走った目。
そうとしかいい様がない・・・。
K「話を聞いて!私たちと救済の話を聞いて!」
Gちゃん「うっちゃん!私のために、うっちゃんの救済のためでもあるんよ!」
もう、その場にいる事自体が恐怖でしかたない。
強引に車内から引きずり出されようとした私だったが、かなり抵抗したので、ドアを閉めようと
するところまで出来た。
私は涙がとまらなかったが、手の力は抜かず、必死にドアをしめようとした。
なおも叫ぶ二人。

「人間は今全員救済されなくてはいけない。」
「魂の穢れがあるからこのままだとダメになる。」
「私の話をきかないと地獄にいくよ!」
「一緒に救済しようよ!」

全ての言葉は二人から出ているのだが、遠くから聞こえてくる声にしかならない。
一瞬力を緩めて、ドアをあけさせ、その瞬間、力をいれドアを引き戻しやっとの思いで
エンジンをかけた。その時、Gちゃんがボンネットの上に体を投げ出し、車を発進できなく
したのだった。
一瞬躊躇した私は、車をバックさせた。
(運のいい事に車止めがなく、駐車した場所の後ろの車がいなくなっていたので)
車が動き出した瞬間にGちゃんは器用に車から飛びのいてくれたのも助かった。
少し離れた後バックミラーで二人を確認し、無事なのを確かめ、駐車場から一目散に離れた。
車を動かした私は、そのまま自宅に帰る気にならず、1時間ほどうろうろしたのだが、、
妙に気になり、実家に電話をしたところ、母からとんでもない報告があった、二人が玄関で
待っている、というのだ。
父も自宅にいるので、何かあってもすぐ対応できるのだが、私は一連の出来事を両親に
話し、警察に電話する事にした。
ほどなく、巡回しにきたパトカーのおかげで二人は帰って、私は無事に帰宅できたのだが
二人は母に私が帰るまで、部屋で待たせて欲しいと言っていたそうだ。

何が二人を宗教に傾倒させたか顛末はわからない、だが、人を狂気に走らせるって
すごい、怖い事だと思った。

後日談。

数日して、他の同級生から実家に電話が入った。
その子の言う事には、やはり似たような事をされたのだが、被害は同じ高校の同級生の
半分近くにも及んでいるらしいのだった。
その後、二人はどうなったか知らない。
だが、Gちゃんが彼を形容した際当時有名だったイケメン野球選手の名前をあげたのだが
写真はどうみてもジャイアント○田に似ていたのが真の恐怖なのかもしれない。


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