[救済させろ]
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私はかなりびっくりしたのだが、KとGちゃんは示し合わせていたので自然に
私の前に陣取った。
K「うっちゃん、久しぶり!卒業以来やねぇ。」
Gちゃん「今Kちゃんの話ししとったんよ、そしたら来てくれたんだよぅ。」
私『あ、あぁ。久しぶり、やねぇ。』
びっくりするのも無理はない。
Kは私も大嫌いだったし、GちゃんもKの事は嫌いだったのだ。
それと言うのも、このK、高校時代には同級生からは鼻つまみもので悪い
噂も耐えないやつだった。
その噂、というのは、ほぼ事実で、クラスメートの財布から札を抜いたり、
人の男を寝取ったりするやつだったのである。
そのくせ、教師には受けがよく、所属部活の部長だったりした。
私もGちゃんも、Kがが窃盗(と言っても過言でない)をしていた時に被害に
あい、ほぼ黒状態なのに、担任教師の擁護の元、事件はうやむやに片された
のだった。

そのKというのが、また体格がいいやつだったのだが、いきなり目の前に
自分より一回りガタいのいい女が二人、ファミレスのソファ席に座ると恐怖も
ひとしおだった。(いやまじで。)

私もGちゃんも嫌っていた人物なのに、何故二人はこんなに仲が?という疑問
はそのまま口をついて出た。
私『二人とも、仲良かったっけ?(苦笑)』
Gちゃん「ここ最近かなぁ?」
K「そうやねぇ、最近だねぇ。」
????きっかけがきになる事もさながら、二人してケバい格好という所で
趣味かなんかか!?と心の中でツッコミをいれたのだが、それは唐突に始まった。

K「ねぇ、本題に入らせてもらうけど、うっちゃんは今の世の中どう思う?」
?????あまりに唐突なために私の頭の中は『?』で一杯になった。
私『どう、って?』
Gちゃん「衆生はどう荒んでいるか、って事だよ!」

・・・・・・!
し ゅ じ ょ う ?

K「あのね、今の世の中、信仰心が足りないんだよ、人間が死んだらどこにいくと思う?」

し ん こ う し ん ?

私『え、あ?ちょ、ま!?』

畳み掛けるように二人の言葉が続く。
「今は六道の中の・・・・・」
「毎日ナニナニの方向に向かってお祈りして・・・・・」
「こういう壷とか・・・」
「毎日南無妙方蓮華経って写経して・・・」
「この世の中を救済するには・・・・」
「○○様のおかげで・・・・・」

あまりの事にかなり凍りつく私。
ヒートアップする二人。

そして、手書きのパンフらしきものを見せ、さらに熱弁を振るうK。
その瞬間の私は、、ものっすごい後悔と憐憫とでごっちゃになって、泣きそうだった。
(何の宗教かは↑でバレバレだが、あえて伏せておく事にする。)

私『ごめん、Gちゃんの言ってる事わからない』
その瞬間、涙が出ていた。
K「最初から話そうか?」
私『いや、そういう意味じゃない。悪いが今日はGちゃんの結婚の祝い話しをしに
きただけで、二人の宗教観を聞きに来たわけじゃない。』
泣きながらぴしゃりと言い放ったのだが、Kの方は意に介さないようで、
K「だからね、その結婚するもの、ずべては○○様のお導きのおかげで」
私『ごめん、もう、私は話しをさせてもらったから帰る。』
自分の分の代金をテーブルにおくと、バックをひっつかみ立ち上がって出口に向かって
歩き出した。
その瞬間、Kがバックを掴み、
K「・・・・・・帰さないよ?」
すごい形相でこちらをにらんだのだ。
私『手をどけて!』
私はかなり必死だったので、大きな声を出したのかもしれない。
店内はしんと静まり返り、後ろでGちゃんが手早くお会計をしていたのが妙にシュールだった。

続く