[うろつく人形]
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こっちを見るように顔を上に向けてるように置いてあって
足元にはその人形以外、目に付くものはなかった・・・・・
俺はすごく恐くて、ちょっとパニック状態に陥って階段を駆け上がり
自分の部屋まで急いで戻ったんだ
それで自分の部屋の前に着いたとき
とんとん・・・
音が聞こえた
今度は後ろから
目の前は部屋の扉
後ろには窓ガラスしかない・・・・
しかも外は吹雪いてて、俺のところの部屋は二階にあった・・・・
振り向こうとしたけど、恐くてその場から動けなかった
こういう体験をしてるときの俺は何故か動けなくなる状態に何度となく遭う
恐がりと言われても仕方ない。だけど本当に恐くてどうしようもなかったんだ・・・

このときもそうだった
真夜中の旅館の二階、しかも吹雪いてる外から窓ガラスを叩く奴なんて・・・
普通に考えればいるはずがない。遭難者がいて助けを求めるにしても二階には
さすがに上らないと思う・・・
とんとんとん・・・・
また音が聞こえた・・・
思わず、振り向いたんだ
恐くて恐くて、でもそのままでいるほうがずっと恐くて振り向いた
そしたら雪で彩られた窓ガラスに、真っ白い手がべったり張り付いてた・・・
一つだけじゃない、いくつもの手が窓を押すようにベタベタと張り付いてた
しかも手だけ
顔も身体も他の部分がどこにも見えなかった
手だけが窓に張り付いてたんだ・・・・

いきなりその手がバンバンッ!!って窓を叩き始めた
恐かった。そのままずっと手が窓を叩いてるのを見てた
そしたらふと、手がすぅーっと消えていった
なんだ?と思って、同時に視線を感じてそちらを見たら・・・・
あの日本人形が立ってたんだ・・・・

そのあと俺は悲鳴を上げて、それに気づいた先生や他の奴らが起きだしてきて
真夜中になにしてるんだ!!って怒られた。
でもね。夢じゃないんだよ。
皆が俺の悲鳴で目を覚まして集まったときも、俺の視線の先にはあの人形が置いてあったんだから

高校での修学旅行の話の前半が終了です

続く