[嫉妬する車]
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住所には熊本県八代市○○。
その住所を見ても自分には何もわからないがお巡りさんが
お巡りさん「住所はこの辺だなぁ…」
自分「いやっ、○○ホームセンターの方でこの辺じゃないですよ」
お巡りさん「あっ!これは前の人の住所だねぇ、こっちの八代市○○が君の住所かな?」
K子に再度問いただすと泣きながら何度も頷く。
えーっ…その前の住所って何?
自分はその住所を見て電信柱の住所を見ると…えっ…この辺の住所じゃん。
これってこの赤いシ○ックの前の持ち主の住所だよね。

K子はその時も車が潰れたショックで全くそのことを不思議に思わないようで泣いていた。
その後警察に連れて行かれて聴取みたいなのを受けるのと、相手が酔っ払いなので相手の迎が来てから謝られて。
結局帰りは午前3時過ぎ。
タクシーで彼女の部屋に戻り、彼女を落ち着かせようと必死だった。
でも頭の片隅には車検証の住所のことがいっぱいで…

次の日K子が仕事に行く時にタクシーで二人して出発。
K子を下ろしたあと駅に向かう途中で、どうしても住所のことが腑に落ちないので運転手さんに昨夜の住所を告げて向かってもらった。
タクシーが着いたのは…昨夜の事故現場が見える場所。
信じられないくらいにすぐ近く。

自分は昨夜の住所の家を探そうと歩き出す。するとその家はすぐに見つかった。
立派な2階建ての家で、入り口が細い竹の格子の玄関。
自分はとても迷ったけれど思い切ってチャイムを鳴らしてみた。
出て来たのは50才そこそこのおばさん。
自分「大変突然で失礼なんですが」
自分は失礼なのを承知で昨夜の事故の事、自分がもうここに来ることはないこと、そんなことから話し始めました。
するとおばさんは事故の事を知っており事故の時に現場に来ていたとのこと。
なかなか話してくれなかったけれど、それから小一時間おばさんと話しました。

そしてここからはおばさんの話と憶測です。
おばさんには息子さんがいて数年前に亡くなっていました。
その息子さんは自分で買った赤いシ○ックを本当に大切にしていて毎週庭で洗車する姿を良く覚えているそうです。
ある日息子さんは赤いシ○ックで運転中に事故に巻き込まれ亡くなった。その後車は熊本で売却した。
そして昨夜の事故。

自分が感じたこと。
K子は赤いシ○ックを本当に大切にしていた。
そしてその赤いシ○ックにはおばさんの息子さんの思いが今でも残ってる。
息子さんはK子に愛されることを喜んでいたのかもしれない。
なのにK子は違う男を車に乗せる。
愛するこの赤いシ○ックとK子に男が。

K子は福岡で赤いシビック○を買ったあと八代に呼ばれたのではないか。自分のそばに来て欲しくて。
そしてたぶん息子さんは嫉妬していたのだろう。自分もいなくなって欲しかったのかもしれない。
その後事故を起こした相手の保険屋さんとの窓口を自分がやり、ローンは少し残ったがK子は新車に乗り換え、納車がすむ頃にはお互いに連絡もしなくなった。


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