[嫉妬する車]
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そしてある休みの日の午前中、K子が泊まりに来る為に車で今から出発するよ!との電話。
その頃はもうお互いを恋人と思っていたので楽しみでしょうがないのだが、彼女が出発して数時間後に再度電話が鳴る。

K子「どうやらさっきからブレーキが効かないんだけど、どうしよう…」
高速道路でブレーキが効かないなんて大の男でも焦る状況。
自分は電話でとにかく左車線に寄って、そのままアクセルを踏まないでウインカーを出して惰性で停まるんだよ!その間にJAFを呼ぶからいまどの辺りなの?なんて会話をしていた。
ちょうどインターを過ぎた辺りだったので、思ったよりも早く救出されひと安心。
車は現地近くの車屋さんに修理を頼み、K子とは電車向かった自分と合流。
K子は憔悴しきった表情で涙ぐんでいた。
修理は数日かかるところを事情を話し3日間でお願いし、K子と自分は自宅へ向かいました。
帰りの電車でK子がぐったりしながら「あの車おかしいのかなぁ。なんだか○○に会いに来るときにいつもおかしくなる。」

実はブレーキがおかしくなったのはこれが初めてではなく、アウトレットに行った先日も高速でブレーキがきかなかったとのこと。
そして昔の男性との事故も2人で乗った時ばかり。
自分もうすうす感じていました。車が…赤いシ○ック嫉妬してるんじゃないかって。

そして8月、
ついに自分にも5連休の休みが取れたので、今回は自分が初めて八代に泊まりに行くことに。
お昼に出発した自分が八代に着いたのは夕方頃。都内で生まれ育った自分にはビックリするくらい長閑な場所。
彼女とメールで連絡をとりあの赤いシ○ックで迎えに来てくれた。
彼女の住まい近辺には何にもなく、買い物さえ車がないとどうしようもない場所でした。
しかも残念ながら5日間ともK子は仕事で…販売だからかき入れ時は休めない…だから自分が帰る最終日の1日前の夜まで夜食以外はずっとK子の部屋で過ごしました。
本当に素敵な時間を過ごした最終日前日の夜、自分は電車で帰るので最後は熊本ラーメンを食べに行きたいと2人で外出しました。
そのお店は八代駅に向かう途中のちょっとした繁華街の脇道を入ったところにありました。
駐車場がないので繁華街の四車線の広い道路に車を路駐。ラーメンを食べてから車を停めた道路へ向かうと何故か…停めた車の辺りに人だかりが…

しかもパトカーが停まってる…
自分はとっさに「路駐で捕まったかなぁ、ごめんね」などK子をなだめてた。
でも近くに行くと様子が違う。
車は運転席側が半壊。
助手席側もドアが開かない状態。
何があったのかわからずに車に寄っていくと、
お巡りさん「これ、君達の車かね?」
自分「はい。何があったんですか?」
お巡りさんに教えられて前方を見ると100メートル程先に傾いた車。
お巡りさん「酔っ払い運転で当て逃げだよ。逃げようとしたけど車がダメになって向こうで停まっているよ」
そんなやり取りの間中、「どうして…どうして…」とずっと泣いていた。
お巡りさんがK子に「車検証出していいかな?ちょっと拝見するよ」と割れたドアガラスから車検証を取り出す。
お巡りさんから「この住所がお宅の住所かな?」と聞かれ自分はわからないのでK子に問いかけると、
K子「知らない…そんな住所知らない…」と心ここにあらずという感じ。
続く