[ミンキーモモ]
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友人は車を運転できる状況ではなかったので、私が運転し、帰途に付いた。
家に戻り、両親に事情を話した所、見事に「沈黙された」。
食欲など全くわかなかったので、早々に寝ることにしたのだが・・・・
その時、私は思い出した。
「あの絵・・・確かミンキーモモっていうアニメーションじゃなかったか?」
正直言って、私はアニメには興味がない。
が、予備校時代の知り合いに変わった奴がいて、
そいつが「ミンキーモモ」好きで、当時いろいろな「グッズ」を予備校内で持ち歩いていたので思い出したのだ。
真性ロリコンで、医学部志望、「ちっちゃい子が大好きだから、小児科医になりたい」等とほざく、
私が人の親ならば「絶対医者にはさせたくない奴」であった。
・・・・といっても成績は理学部志望の私より悪かったので、「まず、医者は無理だろうなぁ・・・」とは思っていた。
「そういや、あいつ・・・どうしているんだろう・・・まさかなぁ・・・」

・・・・がそのまさかがものの見事に当たってしまったのだ・・・・・
しばらく経って、同じ大学の予備校以来の友人が私の所属する研究室にやって来た。
「時間ある?」
「ああ、いいけど・・・珍しいなぁ。何?」
「***が横須賀で焼身自殺したらしいんだよ。1週間ほど行方が分からなくなっていて、親御さん捜索願出してたらしいよ。」
「それもさぁ・・・・自分の周りに「ミンキーモモ」グッズ切り刻んでばら撒いたらしくてさぁ。」
私は自分の血がみるみる引いていくのを覚えた。
「どうしたんだよ??おい!」
「それ・・・・見つけたの。俺だ・・・・」
絶句する友人・・・・これ以上、会話の必要はなかった・・・・
4浪の末・・・・受験したすべての大学の入学試験にPASS出来ず・・・という事だった。
覚悟の上の自殺だったのだろう。
奴は私に「見つけて欲しかった」のだろうか?
とにかく、未だに「ミンキーモモ」の絵を時たま目にしてしまうと、
当時の「ハエの羽音」と「焼け焦げた顔」がフラッシュバックする事がある。
私の数少ない、恐怖体験であり、「トラウマ」でもある。

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