[六甲山の入り口]
前ページ
数年後、そんなことも忘れていた先生は、ある日違う友人達とドライブに出かけたそうです。
「なぁおまえ、ここの大木、右側通っていったら血まみれの女の子に会うって知ってるけ?」突然友人がそんなことを話始めた。
「!!! あほぅ・・・・・。だ、誰がそんなこと言うてたんや?」先生の顔色がかわる。
「いや、聞いたウワサや。。ハハハ。なんや、おまえも知ってたんか・・・」
「・・・・・。」
「おもろそうやな。通ってみるで」
「あほぅ!! やめとけ!! 通るんやったらワシ降ろして一人で行け!!」
「なにおこってんねん!おもんないなぁ。・・・なんやコワイんか?」
「コワイ。やめてくれ。」
「大丈夫や。昼間やし」そういって友人はいきなりハンドルを切ると、強引に大木の右側を通ってしまった。
「うわぁ、やめとけ言うてるやろっ!! ・・・・・ボケが。」
「へっへっへ。」
「・・・・。あんなぁ、おまえは知らんで当たり前やけどなぁ。そのウワサの出所はワシや。」
「?! ハ??」
「だいぶん聞いてる話がかわってるみたいやけどな、」そう言って先生は数年前の出来事を友人に話始めた。
「・・・ヤバイわ。通ってしもたやんけ。」
友人は話を聞き終わる頃には、すでに恐怖がこみ上げていた。
「・・・ボケが。」
「ど、どないすんねん!」
「知らんわ!アホ!・・・・とにかく、もし女の子が居たとしても絶対に車を停めるな!絶対にやぞ!!目も合わすな。そこに居ると意識するな。」
そして二人は無言のままドライブを続けた。
しばらく走ったところで先生の緊張が高まった。
(アカン・・・。おる。絶対におる!!。)
「おるぞ。おまえ、、、、、感じ、、、るか?」
「・・・・。」友人は黙ってうなづく。
心拍数が上がる・・・・その瞬間!
「あっ!!」
そう、通過するその一瞬、ニヤニヤ笑う彼女とすれ違ったのです。
先生は思わずバックミラーに目をやりました。
(おったんや・・・。)
「おまえ見えたか?」
「わ、わからん。そやけど、、バリバリ鳥肌、、、、立ってるわ」
「おったんや。すれ違ごた。・・・・あほっ!振り向くな!! そのまま走れ!」
というお話。先生は何かに怯えながらボソボソと話してくれました。
よくありそうな話でよく出来ているような感じがしたのですが、ところどころ人間臭さがあり、それが妙に真実味を感じさせていました。
多分、僕の文章ではそういう微妙なニュアンスが伝わらないかもしれませんね。
ちなみに今は道路も舗装され大木は伐採されております。
次の話
Part15menu
top