[おんぶお化け]

ひと月ばかり前の話。
昼寝をしていた。夢の中で俺は、蛍光灯が灯いていない薄暗い部屋にいる。
今寝ている自分の部屋のようだが、出窓のある西側の壁に向かって卓袱台上に設置してあるMacの17インチフラットパネルが
夢の中では南側にあって、唯一ほのかに白い光を放っている。
そのPCディスプレーが置かれた卓袱台をとり囲んで4〜5人の子供がいる。なんとなく全員3歳から5歳のようだ。
顔はわからない。というよりノッペラボウのように個性というものが感じられない。全員男児のようだ。
全裸か腰布を纏っているだけの賽の河原の子供たちか又は角の無い小鬼のような彼らの内、PC前面の場所に陣取っているのは二人である。
エロ画像のPC画面を食い入るように見つめながらオナニーに励んでいる。

画面はどの位置からでも見えるのだから各自勝手に楽しめばよいのだが、そこは彼らなりのルールがあるようで、
PCの前面にいる者だけが性器をしごいて善いのである。
順番待ちの子らが痺れをきらして「まだあ!?」だの「はやくしてよお!!」だのと泣かんばかりに叫ぶが、
ことに及んでいる二人の内左側の一人などは小振りのオチンチンをしごきながらブリッジのように海老反ったりして
ここを先途と欲望全開である。
下品でエロチックな騒ぎのわりには奇妙な静謐感が漂っている。。

昼寝中多くの夢を見たようだが、それが目覚める寸前の最後の夢だったようだ。
俯せで寝ていたのだが、夢から覚めた途端に金縛り、と言うより、金縛りとともに目が覚めた。
金縛りは年に一度くらいは体験するが、真昼の明るい部屋のなかでは初めてのことで、それはそれでまた格別な焦りを感じさせた。
左の視界1メートル位先に50センチ位の半裸の子供がいる。夢から出てきやがったか。俺の様子を伺っている。
顔と表情はやはり分らないが、なんとなく俺を嘲っているようだ。しかし見えたのは一瞬で、直後もう一人が背後から背中に覆い被さってきた。
子供とは思えない重量感を、俺の背中にジンワリと楽しむかのように徐々に染み込ませてくる。
「オンブお化け」。何故かそう思った。

続く