[塩]
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駅に着くまでも目の端にチラチラ黒い丸いものが入ってきたがとにかく無視。
神社の鳥居の上、電信柱の陰、民家の塀の中、郵便局の屋根の上、信号の上、
所々に現れては消える。しかもものすげえ嫌な感じ。
うまく表現できないけど見てるだけでオエってしそう
ついでに言うとまだ塩分が摂りたいのは変わらなくて途中で
バイト先ではないコンビニで塩のポテチを買って食ったが足りなかった。
駅に着いたのは夕方で丁度高校生の帰宅ラッシュ。
ああ居るなと思ったMはやっぱり居て俺の顔を見るなり
「開けるなって言ったのに馬鹿だな」なんて言いやがった。
もっと分かりやすく言え!と怒るといきなり俺の背後を指差した。予想はついた。
「アレ」が居るんだろう。最早生首決定していた俺は絶対振り向かねえと断固拒否。
しかしMはいいからいいからっつって
振り向かせようとする。見たくないんだよ馬鹿かこの高校生。
何を言っても聞く気はないらしくとにかく振り向けの一点張り。
振り向けば直るのかと聞いても答えない。
しかしここで押し問答をするわけにも行かないし
駅前で言い争って交番に呼ばれたくも無い。
大人な俺は(周りに人が大勢いたのもあって)振り返ってやった

俺の目の前1メートル前後にあった黒い塊は生首ではなく大量の虫だった
とにかく虫、虫、虫
種類なんか判別できんほどびっちりびっちり虫がくっつきあって犇めき合って
バレーボール大くらいの大きさになっている。
俺は虫苦手じゃないが流石に飛びのいた。
咄嗟に「殺虫剤とか効くのか」とMに聞くがMは笑って
「効くわけないじゃん馬鹿だな」と言う。
Mが宙に浮いたままの塊をしっしっと手で払うと
一瞬でバラけて何もなかったかのように消えた
何だったのかと聞いてもMは答えない。猫が狩ってきた虫か?とか
今まで殺した蚊か?とか聞いても「馬鹿だな」と言うだけで肯定はしない。
ただ、あれと塩は関係あるのか?と聞いたら「しお?」と
聞き返して少し悩んでから「ああ、塩ね。あるよ」と肯定した。

簡単な説明してもらって駅で別れて電車に乗ってから数分後に
ものすごい喉の渇きに襲われて下車。売店で水を二本買っていっき飲み。
治った事を実感しつつそういや3回馬鹿って言われた事を思い出して頭に来た。
Mの説明は分かりにくかったがつまり虫の幽霊(生霊?)みたいなものらしい。
それの一部体の中に入るととにかく何か偏ったものが摂りたくなるとか。
ドアからは入らないが窓からは本体?みたいなモノが
狙っていて危ないとか胡散臭い説明だった。
本体に接触したらどうなるんだと聞いたら「明日は会えなかったなあ」とか
意味不明な事を遠い目で呟くのでそれ以上は聞かなかった。
説明がよくわからんと文句を言うと
「まあアレは世の中にあるうちのほんの一部だから」と
自分の説明下手を誤魔化しやがった。というかあんなんが
世界中にうじゃうじゃ居たら困るわ。そう言うとMは
「人間も虫も大差ねえよ」と笑った。
つまりそれは人間にもあんなのがいるって事だろうか。
そしたらそれはサッカーボールとかの比じゃねえのか

とはさすがに聞けなかった

長くなって失礼
個人的に超ショッキングだったもので


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