[縁(えにし)]
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なるほど。そう言うことなのかと、俺は納得した。
「そしてもう一つ」
俺はゴクリと唾を飲んだ。
「業を招く」
「それって……どういう意味なん?」
「旅は道連れ、世は情けと言うじゃろ。要するに、連 帯 責 任 じゃ。
その苦しみ、その責め、その業を分かちあってしまうということなんじゃよ」
「そんなん視るだけの奴にゃ手に負えんし、関わったばっかりに死んじまうこともある。
なまじ理解しちまうせいでな。だから本当に力の在る奴しか口にしちゃいかんし、
そう言うのを生業にしてる奴らもわかっとる。だから口にせんのじゃよ」
「爺ちゃんにゃあったん?」
「ワシにゃ無い。無かったが理解できる。なんとなしに……お前と一緒でな。
だから、考えても口を利くな。招くぞ。神も妖も霊も同じ。言葉は一つの呪いと考えとけ。
口を利けば、彼岸の向こう側から縁を結んで招かれる。古くから人に都合の良い神を招くのは祝詞じゃしの」
おいおいマジですか。と、心の中で呟きましたさ。
「でもな……」
ここで爺さん、妙に神妙な顔付きになってしまいまして。
「理解するこたー悪いことじゃねぇ。それが救いになるこたぁある。
だが一線越えちゃなんねぇ。ワシゃ知っておるからの、越えた奴ぁ……
確 実 に 死 ぬ ん じゃああぁぁぁああぁぁあああああああああ!!!!!!111! !」
んで、すげーわざとらしくコホンと咳払いしやがりまして、
「……例外は定め付けられ、仏の御心を持った人間だけよ」と締めくくった。
こん時の爺さん……怒ってるのか、泣いてるのか、笑ってるのか、いやきっと全部なんだろうな……。
例えようの無い顔ってこういうのを指すんだって。全身を恐怖の針で刺された感じで動けなかった。
ありえないぐらいのリアクションと大声が小便チビリそうになるぐらい怖かったです。
「……ま、蛇足ではあるが。一度繋いだ縁は双方が交わりを望まぬと誓わぬ限り切れん。
それほど強いつーことじゃ。また招く、縁を繋ぐ、これは繰り返すことによってより強くなっちまう。
一度視た深遠を何度も覗く羽目になるというのは、こういうことじゃよ。何度も覗いた奴ぁ不幸だけが降り注ぐ」
「生きてる人間にゃ、真っ当に生きる資格があると同時に義務がある。
その分を越えてはならんのじゃ。解ったか? ○○(←俺の名前です」
俺を脅かすだけ脅かして、ハッハッハと爺さん笑いやがりましたよ畜生。
俺的にはガクブルものでした。喉がカラカラで何にも喋れなかったし、くそぅ。
以上です。他にも爺さん絡みで色々あったんですが。機会があれば、また。