[バス停の女]
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ここからは先輩の話。
言われたとおり、例のバス停に向かった。その日は雨だったのだが、傘もささずに女の子が座っていたらしい。
欲求不満の先輩は、女の子に声をかけた。簡単に乗り込んでくる彼女。
先輩は彼女がおとなしく無口な事をいい事に、すぐにラブホに連れ込んだ。たっぷりと楽しんだ後、帰りの車の中で彼女がこの車の持ち主について執拗に知りたがる事をうっとおしく思いだした。
もちろん、持ち主について語るという事は、自分の身元もばれる事に繋がる。
先輩は、避妊しなかった事で一夜限りで逃げたかったのだ。適当にごまかしたり、嘘を教えたりしながら帰路についていた。
途中、煙草を買うためにコンビニに寄る事になった。彼女は助手席に乗ったまま。
ところが、煙草を買って戻ってくると彼女がいない。例のバス停まで近かった事もあり、歩いて帰れる距離だったんだろう。と、楽観的に考えた。
なにせ、先輩にとっては面倒はごめんだったから、都合良かった。
話はそれで終わり。

車は、孝史の駐車場に停め、先輩もその後短期の出張があったり、元カノとよりを戻したりで孝史の車を借りてナンパする事もしなかった。

その後、孝史は出張から戻ってくる。
久しぶりの自分の部屋。
もちろん、出かける前と特に変わった事は無い。
トイレに入った時、ティッシュペーパーが切れている事に気が付いた。
そして、近所のショッピングセンターに行く事になる。

買い物を終え、荷物を入れようとトランクを開けたとき、異常な光景を目にした。

トランクを開けた裏側の部分、ちょうど荷物を載せようとした目線の正面に
「孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史孝史…」
何かでひっかいたように、孝史の名前が無数に刻まれていた。
そして、何故か無数の長い髪の毛。
美奈に渡したはずのインクの切れたボールペン。

それ以来、孝史は通勤路を変え、車も買い換えた。
買い換えた後、一度だけ金曜日の夜に例のバス停を通った。
バス停の陰に、誰かが立っていた…ような気がしたが、怖くて直視する事も出来なかった。

END(名称はフィクションですが、ストーリー自体はノンフィクションです)

友人から聞いて、ずっと投稿するか悩んでいた話です
ちなみに、そのトランクの内側の状態は自分でも見ました。
見た瞬間、鳥肌が立ちましたけどね。

名前に関しては実名はまずいと思ったので適当につけたんですが
女の子の名前に間違い(統一してない)ところがあったのは校正ミスです。ごめんなさい。

ちなみに、もちろん友人は住所も変わり駐車場も別の所になりました。


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