[肉般若]
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もてなしのマナーがないとか怒られながら(泣)。正直、無邪気に私に会えて嬉しいとはしゃぐ厨房たちの方が
万倍可愛く見えました(号泣)。彼女たちは原稿見たいとか、スケブ書いて下さいとか程度なので・・・
と、この時は思ってましたが。
そして夜。一組しかない布団は当然彼女に奪われ、厨房たちがその回りでとぐろを巻いてるのを横目に
明かりを消されて、私は恐怖でどきどきしながらまんじりともせずに電話を待ちました。
私が電話を掛けようとすると彼女に
「どこへ掛けるつもりなの?」
と怖い顔と声で聞かれるので。
こっち見て眠っている彼女が今にも目を開けそうで、本当に怖かったんですよ!!!
ミザリー見て味わった恐怖の何倍も怖かった・・・。
そして、いつまでも鳴らない電話に内心で最後は恨み言を言いながら、夜が明けて。
見てしまいました。電話線、引き抜かれてたんです・・・。

引き抜かれた電話線を震えながら見て、カチリと差しこんで、私はとにかく誰かに電話をしようと
受話器を取りました。そっとです。で、でもその瞬間、
「どこに掛けるの?」
こっちを向いたまま寝ていた彼女の目がぱっちりと開いて、聞かれたんです!
いつのまにか起きてたんですよ!!私は本気で震えながら聞きました。
「で、電話線が抜けてるんだけど・・・」
「寝てるときの電話ってうるさいでしょ。それより、お腹が空いたわ」
まんじりともせずユラリ、と起きあがった彼女が怖くて、私はとにかく朝食を作りました。
見かけ、十人分ぐらいは。その頃には厨房たちも起きあがり、一緒に食べれば?の誘いを必死に蹴って
私はもうどうでもいいから早く彼女らが、いえ彼女だけでも消えてくれと祈ってました。
厨房もいやです。でも、私には彼女の方が何倍もいやだったんです。

続く