[肉般若]
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「だってお金ないよ」「野宿しろって言うの!?」
香葉さんは香葉さんで心底分からないといった顔で
「友達にそんなこと言うの?まあ、あなたが言うなら彼女たちは出て行けばいいんでしょうけども」
・・・・あんたもよ!!彼女のわけのわからない理屈に眩暈を覚えながら
「あんたももう友達じゃない!出て行って!」
と言うと、彼女はむっとした顔で振り向き、打って変わって恐ろしい形相で彼女たちに凄んだのです。
「あんたたちみたいな子供と付き合うとどうなるかの証明よね。さあ、出てきなさい」
・・・って、あなたどっちの味方なんだろう。そして、今度は彼女と厨房たちの戦いになったんですよ。
ういうこと!?
私は本当に暫くの間、罵倒し合う・・・というか、うお〜んと泣く厨房よりも彼女が怖くて凍り付いてました。
私に、301さんの元彼のような知り合いがいてくれたら・・・・。でも、いないし自分でなんとかするしかないんです。

とにかく、こんな狭いところで乱闘されてはたまりません。壊れたら困る高価なものだってあるんです。
・・というか、押入れの襖とか困る!
私はとにかく彼女らを止めました。そして、そしてね、
「やっぱりあなたは私の味方なのね」
長い黒髪ストレートヘヤを振り乱し、振り向いてにっこりと笑った
彼女の顔が、私には般若のようでしたよ。本当に・・・。
怖かったんです。叩き出したかったけど、とにかく怖かった。
私はとにかく厨房たちを追い出して、・・・正確には彼女が叩き出して、
厨房たちの荷物をその背中に投げつけたのですが。部屋には、私と彼女が残されました。
分かってます。追い出した方がいいことは。でも・・・でもね、怖かったんですよ。とにかく。
長い髪をかきあげてくつろぐ彼女に乞われるままお茶を出して、私は恐怖でぶるぶる震える心境で
とにかく荒らされた部屋を片付けて、彼女の買ってきたスーパーの袋を見て、また凍りつきました。

続く