[恋人の幽霊意]

この話はもう十年以上前になります、やっと
人に話す気になりました、自分の生涯で最も
恐怖を覚えた体験であり、二度と味わいたく無い
体験でもあります......
自分はある合コンがきっかけで、一人の女性と
知り合いました、その女(ひと)は、どこか物悲しい感じで
盛り上がったコンパの場でどこか浮いた感じが
したのです、少し気になり声を掛け家まで送って
行ってから、関係が始まりました、その女(ひと)が自分に
惚れてくれたのです、決してその女(ひと)は自分の好み
では無かったのですが、女にもてない自分は、こんなに
女から惚れられた事は初めてであり、長い間彼女が
いない事がコンプレックスだった自分は兎に角彼女
が欲しいと言う一念でその女と交際を始めました、
しかし、それは大変な間違いだったのです、彼女の
真剣な気持ちに対し、極めて安易ないい加減な気持ち
で答えてしまった事が大変な過ちだったのです、しかし
その時は後になってこんな恐ろしい酷い目に会うとは
想像すらできませんでした。

実にいい加減な思いで付き合い始めたのです、半年
経つと、もう飽きてきて、彼女の愛情が鬱陶しく思えて
来ました、彼女は非常に頭と勘が良く感性豊かな女性
ですが、その分どこかヒステリックな雰囲気がありました、
次第にそんな雰囲気が鼻に付いて来て「もう、こんな関係
は終わりにしたいな」と思い始めていました、しかし彼女
の愛情はそんな私の思いと反比例して激しくなる一方で
ある日、電話で話している時に彼女の愛情に十分答えて
いない自分に対し彼女は激しい怒りをぶつけて来たのです
いくら、なだめようとしても彼女はますますヒステリックに
なり、しまいに怒鳴り散らし始めました、耐え切れず電話を
切っても、直ぐに電話が掛かってきます、翌日朝非常に大事な
商談を控えていた私は仕方なく電話線を抜きました。
そしてやっと寝付いた午前3時頃、切ったはずの電話から
彼女の声で「死んでやる、死んでやる」と続けて聞こえて来たの
です、兎に角恐くて、布団をかぶっていると最後に「殺す、
こーろーすー」と聞こえて来るではありませんか、もう恐怖で
その日はろくに眠る事ができませんでした。

続く