「のろいの人形」

数日して、悲惨なことが起こりました。
私の友人の一人が車で事故を起こしました。
車は炎上、友人が病院に運ばれたときは全身火傷で、
すでに息がなかったということでした。
その数日後、またも私の友人が家で焚き火をしている際
火が服に移り右腕と右顔半分を火傷する大怪我をおいました。

病院に入院した友人に会い、事情を聞きました。
友人の話では、事故が起きる数日前、体が焼かれる夢を見た
とのことでした。私は迷信など信じない性格でしたが、
このときひょっとしたら・・・と思いました。

それから家に帰りすぐ庭を調べました。
ごみを焼却するごみ穴を調べました。あの箱は焼け残っていました。
箱を調べようと手を伸ばしたとき、ものすごい寒気が体を襲ったのを
覚えています。箱の中からは人形が出てきました。

全部で3体。そのうち一体は丸焦げ、一体は半分が焼けた状態でした。
一体はまったく焼けていません。人形はごく普通の日本人形で、着物を着た
女の人形です。焦げかけた人形を手に取ったとき、焦げた人形の和服がぼろぼろと
落ちました。

その人形の裏をみたとき、恐怖のあまり腰を抜かしてしまいました。
そこには友人の名前が書いてあるのです。クロ焦げの人形のほうは
名前が見えませんでしたが、大体解りました。
焼けなかった人形に私の名前が書いてあったからです。

何もかもが不思議でした。誰がなぜこんな事を、
私と友人もこれといって共通点はありません。他にも友人はいるのですから。
誰かに恨まれる覚えはありません。なぜこの家にそんなものがあるのか・・・
家に私を恨んでいた誰かが住んでいたのか・・私の知っている人間には
山口に住む人はいません。

何もかもが不思議でした。

私はそれからすぐその家を出ました。
あの人形は寺に預けました。寺の人の言葉が今でも心に残っています。

「供養しようと思った、でも供養できるものではない
この人形についた怨念は、人間のものではない」

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