[桜の木の下]

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僕も健太郎も立ってみたが何もなかった。残すは太郎だ。

太郎も数分立ち、安堵の笑みを浮かべる
もうさすがにないだろうと思い始めたその時
ピクリッ!と大きく太郎の顔が歪んだ

「どうした」と僕たちが聞いても、反応はない
もしやと思い太郎を連れ出そうとするが
太郎は思い切り抵抗する。

しょうがなしに3人でやっとこさ桜の木の下から連れ出した。
大急ぎで離れた場所まで連れて行った。

太郎は暫く言葉を発しなかった。
だが僕らが必死で問いかけて数分後
「おれのこと?」 と口にした。
僕らはさっぱり意味がわからなかった。
兎に角 「おまえのことだ」 と言ったと思う。

すると急に太郎は、まるでダダをこねる子供のように
わんわんと泣き喚いたのだ。
これには僕らも脱帽した。

「あの桜の木の下で 何かあったんだ・・」
そのとき僕らはハッキリと思い出した。


「タロウクンッテ、シッテル?―――。」

太郎の名前は紛れもなく、「タロウ」である。
血の気が引いた。今にも倒れそうだった。

とりあえずは太郎を家まで連れて行き、
太郎の両親にこのことを説明した。
こっ酷く叱られたがそれどころではなかった。

1時間ほどし、太郎はやっと平常心を取り戻した。
僕らは問うた、「何がおきた?」と。
そして僕らは、太郎から返ってきた答えに唖然とする。

「糸に引っ張られるようびぼれは後ろをぶくと
 女の子が立ってびだ・・ん。」
「誰かな?と聞いてみたけど、返事がな・・」
「特に今時おかっぱなて、珍しい・・・」
「すると急に、顔ががわって、」
「お・・・恐ろしい顔に・・うっ・・」

太郎は大きく声を震わせながら
必死で伝えようとしてくれたが
僕らにはあまり事情が把握できなかった。

兎に角この桜の木のことについて
僕らは近所の色々な方に尋ねてみた。
すると、確か5件目くらいに当たった家で
そこのお爺ちゃんにこんな事を言われた

「悪ふざけはいかん!」

確かにそうだが、何故ムキになって怒るのだろうと思った。
その後自分たちで調査してみて、以下の事情がわかった。
「あの桜の木の下にいる少女は、雅江 と言う」
「雅江は1940年代に何者かに殺されている」

そこで僕たちは勝手にこんな予想をしてみた。
「生前雅江さんは太郎さんという人に恋をしていた
 でもフラれてしまってそのまま誰かに殺されて
 まだ太郎さんに未練があるのだろう」
とまさに小学生らしすぎる安易な予想をした。

しかし太郎は2年前に心臓発作で他界している。

詳しいことは何一つワカリマセン駄文スマソorz


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