[恐怖の一夜]

私が高2だったころの夏休み最中の出来事です。

のっけから不純で申し訳ないけれど
高2の春から私は同じ学校の体育教師と内緒でつき合っていました。(以下、文中では彼と称します)
彼は全校生徒からは絶大な人気がありましたが、年配の教師達からはよく思われていない先生でした。
当時、柔道部と剣道部がとても強く、私が入学する2年前に立派な武道館を立て地元でも
ニュースになったくらいの学校で、彼は剣道部の顧問をしていました。
武道館の横にプレハブで出来た宿直室があり、彼は独身だったのでよく宿直をしていて
彼と付き合い始めの頃の週末土曜日になると親に「友達の家へ泊まりに行く」と嘘をついて
私はこっそりと学校へ行ってました。

8月初旬の夕方、私はいつものように彼が宿直をしている学校へといそいそと出かけて行きました。
その日は彼の友人カップルも来てて、4人でワイワイしながらホットプレートで焼き肉を食べ、
友達カップルから彼は「生徒とそーいう仲になっていいのかよ〜」と冷やかされ
私は私で3人の大人達によってたかって(高2の小娘から見たら当時28歳だった彼らは十分大人に見えたw)
「若いよね〜、可愛いよね〜」などと言われ、いい気になりこの故無く楽しい気分に浸っていたのを
昨日のことのように今でも思い出します。
食べ終わり皆それぞれにくつろいでいた時、お決まりのように恐い話になりました。
どこの学校にも「学校の七不思議」系の話ってありますよね。うちの学校にもそういう話がたくさんあり
彼は保健体育の授業中によく恐い話をしてくれてました。
私は彼に「先生、恐い話してよ〜」と言うと
彼が「よし、まだ誰にも話してない話をしてやろう」と怪談が始まりました。

武道館が出来て間もなくの頃、柔道部の男子生徒が大会を目前に控え練習の帰り道、
交通事故で亡くなったそうです。
それから間もなくして
体育の事業中、ふと武道館を見ると窓から亡くなった男子生徒がみんなを見ていたとか、
夕方、剣道部と柔道部が練習を終え武道館から出るとき最後にドアを閉める人が
柔道場から「ドス、ドス」と音がするのが聞こえ、中に行ってみると
半透明の無くなった生徒が柔道の練習をしていたなど・・・・・
武道館で亡くなった男子生徒の幽霊を目撃したという複数の話が学校中に広まったそうです。

彼は暑い時期、宿直をするときはまだ新しい武道館の板張りの剣道場のど真ん中に布団を敷いて寝るのが好きだったそうで
その日の宿直も剣道場で眠りにつきまました。
「ドス、ドス」という音で目が覚めると、急に金縛りにあい身体が動かなくなったそうです。
音はだんだんと彼に近づいてきました。
亡くなった生徒が自分に近づいてくると感じたそうです。
彼はとても疲れていて近づいてくる音と気配に向かい心の中で
(○○←(亡くなった生徒の名前)ゴメン。オレは今日はとても疲れている。オマエの練習の邪魔はしないから
今日はこのままここで寝かせてくれ)と念じたそうです。
すると「ドス、ドス」という音と気配が次第に自分から遠ざかって行き、気がついたら朝だった。

という話を彼がしてくれました。

続く