[ピンポンダッシュ]

ちょっと長くなっちゃうかも知れませんが…。
今から5年くらい前、友達が体験した話です。
 友達=A
 友達2=B
 友達3=Cとします。
全員、霊感はありません。

5年前の夏、夜中の2時近くに何となく「花火しようぜ!」と
盛り上がってしまった3人は、近所のコンビニで花火を買い込み、
Cの運転する車で入鹿池に向かいました。
ここは、愛知近郊の人間ならみんな知ってるやばめの心霊スポットなんですが、
恐れを知らぬ短大生の3人は、むしろ歓迎、くらいの気持ちで、特に気にも留めずに出発。
地元のしょっちゅう走ってる道なのに、何故か迷ってぐるぐる回ってしまったり、
すれ違った車に人影が見えなかったり…と、
怖がりの私からしたら耐えられないような兆候があったにも関わらず、3人は無事池に到着。
空が白みかけるまで花火をして帰りました。
(帰りがけ、Bは池の上に舟影を見た気がする、と言ってました)

独り暮らしのAを近郊の自宅に送り届けたあと、Cは車で帰宅。
BもAの家に置きっぱなしにしていた原付で帰宅しました。

ほどなくして、Aが寝ようとすると、玄関から「ピーーーン、ポーーーーーン」とチャイムの音。
(ワンルームなので、ボタンを押し込むと「ピン」離すと「ポーン」が鳴るチャイム。
 友達連中は大抵、面白がって30秒近く押し込んでから離す)
夜明け前に訪問者があるわけもなく
「お、Bのヤツ、驚かしに戻ってきよったw」と思ったAは、
いっちょ笑かしたろ、とパンツを半分下げ、半ケツ状態で勢いよくドアを開けました。
しかし、ドアの前には誰もいません。
隠れてるのかも(ままある事なので)、とドアの裏を見ても、やっぱり誰もいません。
首をかしげつつドアを閉めて、戻ろうとするとまた
「ピーーーーーン、ポーーーーーーーン」

今度は走ってドアに飛びつき、外に飛び出しました。やっぱりいない!
走って階段を駆け下り、アパートの周辺を探しますが、やっぱりいない!
そもそも、Aのアパートは↓のような構造で(ずれてたらすいません)
2階の一番奥にあるAの家のチャイムを押した後、
薄いアパートの廊下を足音もたてずに走り、
鉄の階段をやはり音もなく駆け下りて、どこかに隠れるなんて不可能なんです。
Aの全身に一気に鳥肌が立ちました。

これは絶対、池からヤバいのがついてきた!!
Aはダッシュで家に戻り、実家のおばあちゃんが持たせてくれたお守りと
食卓塩を握り締めて、慌てて布団をかぶりました。すると
「ピン…、ポーーーーン ピーーーーーン ポーーーーーーン
ピーーーーーン ポーーーーーーン ピーーーーーン ポーーーーーーン
ピンポーーーンピンポーーーーンピンポーンピンポーンピンポーン…」

恐怖のあまり、それがどの位続いたかAにはわからなかったそうですが、
朝の5時過ぎに新聞配達の音がするまで、恐怖で身動きが取れなかったそうです。

翌日、半泣きで「Bくん、昨日の朝ウチに来たやんね?」と聞いてみたけれど、
当然「ハァ?」と返されてしまい、しばらく怖くて一人でいられず、しばらくBに泊り込んでもらってました。


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