[生首と仏壇]

幽霊を視る方法を試して一週間以内の話。

生まれて初めて夏バテにかかった。陸上とかをやってたこともあり、体力には自信があった私だけど食事は流動食以外採れなくなるくらい、なぜか急にバテた。

ある夜急に目が覚めた。昼間予定がある時以外はぐったり寝ているので、目が覚めても当然かな…とぼんやり考えていた。
時計を見ると1時50分。寝苦しくて寝返りをうつと少しして、部屋の中心に何か黒いモノが浮いて見えた。

眼が暗闇に慣れていなかったのか、ぼや〜っとした黒いモノしか分からない。
おまけにコンタクトをしてないので、かすんで見える。ぼっーっとそれを見ていると何となく大きくなった気がした。

何日か前に試した「アレ」が頭に浮かんだ。

まさかそんなはずはないと思い、だるさの残る体を起こして勇気を出して思いっっっきり近づいた。
手を伸ばせば届くその距離30p。その物体は


人 間 の 生 首

…だった。
黒く乱れた髪をしていたそれをみて、しばらく凝視したまま凍り付いた。(睨まれていた気もする)


びびった私はそれから周りが見えないよう、ベッドの隅に放置してあった羽毛布団をクソあちぃ中、頭まですっぽりかぶり汗をダラダラ流しながら眠った。

次の日のこと。
昨日の事もあって遅くまでテレビを見ていた。一階は部屋数が少ないので仏間にテレビを置いている。

どうしても自分が見たもののことが信じられず、やっぱり疲れてるのかと思い込もうとしていた。

少ししてテレビに集中していた時、仏壇を縦長の白いモノが横切る。
最初はテレビの光が眼に焼き付いて見えてるだけかと思った。
何度か仏壇を西に横切るものが見えて、いい加減怖くなってきて部屋から出ようと立ったとき東に横切る人型のそれをハッキリ見てしまった。
白装束の黒髪の長い女性。ゾッとしたのはその右顔面。赤黒く焼けただれていて怖くて目をそらしてしまった。もう一度目を向けるとすでに消えていた。


部屋を出て居間にいた母に打ち明けた。仏壇を東と西に横切る白い人が見えると。
真剣な顔で母は教えてくれた。「仏壇を西に横切るひとは天国へ行く人。東へ横切る人は地獄へ行く人だよ」


つまり私が見たモノは…。


次の話

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