[影]
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その話を聞いた僕達は、興味本位で、その施設に行くことになった。
ただ僕達は、噂を試すのではなく、
お化け退治感覚で行くことになった。
実施日は土曜日の夜12時。それぞれ、親が寝た
頃に家を出ることになった。
持ってくる物は、エアガン、懐中電灯。
そして土曜日の夜12時。
A君もB君も集合場所に集まっていた。
A君「エアガン持ってきた?」
それぞれエアガンを持ってくる約束だったので、
忘れずにエアガンを持ってきた。
A君は、エアガンの他に塩を持ってきていた。
僕が何で塩を持ってきたのか聞くと
A君「呪われた時には、塩が効くっちゃが」
と自信満々に答えた。
僕もB君もふーんと、知識のあるA君がいることに
安心していた。
集合場所から施設までは近かったので、歩いて行くことに
なった。普段歩き慣れた道も、懐中電灯の光だけでは
別の道に見えた。
施設の入り口に着くと、さすがに不気味さがさらに
伝わってきた。門は閉められていたものの、簡単に
乗り越えられる。扉は壊れて開いていたので、
そのまま入ることができた。
B君が「なんかやばくねぇ?」と、少し怖気づいていたが、
僕もA君も「大丈夫やがぁ」と言いながらも、B君の
背中を押しながら前に進んでいった。
施設は2階建てになっていて、とりあえず僕達は1階を探検
することになった。懐中電灯の光以外は、月明かりさえも
照らされず、視界はかなり狭かった。僕もA君も、B君の
肩に掴まり、身を寄せ合っていた。
たまにB君が「うわっ、何か踏んだっ!」と叫ぶと
僕もA君も「ちょ、おま、マジ脅かすなって」と言いながら
震えていた。
ある程度時間が経つと、少し暗さにも慣れ、
ふざけて、「何か後ろにいねぇ?」とか「お前、背中に
何かついちょるじ」とか言いながら、お互いを脅かしては
笑っていた。

1階をとりあえず探検した後は、2階に行くことになった。
2階、例のトイレがある場所だった。
「お前先行けよ」と先の見えない階段を前に
譲りあいながらも、3人横一列になって進むことになった。
「やべぇよ、ぜってぇ何か出るて」とB君が急に怖がり出す。
確かに1階とは明らかに雰囲気が違い、壁も床もボロボロ
だった。
A君が「なぁ、今何か音せんかった?」
と急に呟いた。
「おい、マジそういうのやめろて」と僕もB君も怖さのあまり
神経質になり、少しキレ気味で言った。
それでもA君は
「いやマジだって」と反論する。それからしばらく
3人で口論になったが、次はB君が口を開いて、
「ちょいまて、ちょいまて!」と何か焦って話を止めた。
僕もA君も何事だと思ってB君を見た。
B君が「俺も聞こえた」と言った。
A君が「やろ?聞こえたやろ?」と疑いが晴れたように
目を丸くしていた。
B君「うん・・・何かカツカツって音じゃねぇ?」
A君「そうそう!何かたまぁにだけど聞こえるよな」
二人は意気投合したようだった。

僕には全く何の音も聞こえなかったので、きっと二人が
またふざけてるんだと思っていた。ところが二人とも
なぜか焦りだして、ほぼ同時に「こっち来てねぇ?」
と口を合わせた。どうやら足音が聞こえているらしい。
とりあえず身を隠すために、僕達は近くに倒れていた
大きい机の裏に隠れた。
「やべぇやべぇ」と言いながらA君が塩を周りに撒いて、
僕達にも塩をかけた。さらに緊張が走って、
それぞれエアガンを握り締めた。いざという時は、
そのエアガンで戦うつもりだった。
「聞こえる?」とB君が聞いてきた。
「いや・・・お前は?」とA君が返した。
相変わらず僕には全く聞こえなかったので、首を振った。
「どうする・・・行く?」とB君が言った。
何も言わなかったけど、僕もA君も頷いた。
正直怖かった。机の影から身を出したとたん、霊がいるんじゃ
ないかと、いろんな妄想が頭に沸いてきた。
せーので身を出すことになり、エアガンを構えて、いっきに
飛び出した。懐中電灯を照らす。何もない。

続く