[ふさふさのしっぽ]
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一人の警察官はパトカーから無線で連絡している、
一人は私と話す、少したつと、3、4名の警察が来た。そして

 警察はウチの庭のを調べるが・・・状況は、「人影」は「土の上」にはいなかったため「靴の後」も採取できず、
勿論状況的に指紋も残らない。

そう、私の証言のみだ。

数日が過ぎる

 それから、母と父、妹の視線が気になる。
その視線の理由は・・・おそらく・・・

私は思う、私は狂っているのだろうか?

 気が滅入ってくる。幻覚が見えている?
黒猫、ふさふさの尻尾の動物、黒い人の影・・・そのすべてが・・・

 自らの「自信」が崩れ落ちてゆく、自らの記憶への疑い・・・
私は・・・ひとつの可能性が「ありうる」事、
その事へ、思考を傾けることが多くなっていった

「・・・」

幾日か過ぎる、ある日、母から

「”あの”犯人、捕まったわよ」

「へ?」

 私は・・・。あの少ない証拠でつかまるとは到底思えない。
聞くと、他の家に侵入した泥動が自白、その内容から、
ウチに侵入を試みた事が解かったそうだ。私が見た”黒い人影”は事実だったようだ。
何か自らの中で自信が取り戻されてゆく。

 そして、また、何日か経つ

その日もよるタバコを吸っていると、あの木にふと、目をやると・・・

ふさふさの尻尾が三つ

 野鳥の為の柿を食べているっ!姿も良く見える、
オコジョかフェレットかハクビシンか解からないが、
そういったヤツが今日は三匹もだ。コッソリと母と妹を呼ぶ

「本当・・・かわいい」

「まさか、本当に居るなんてねぇ」

 こうして、黒猫以外、私がみたものは事実だった事が確かに成った。
恐らく黒猫も、ウチの猫以外に似たようなのが居たのだろう・・・
どうやら私は「幻覚が見えている」事は無さそうだ。

 私の(私の中での?)ちょっとした「幻覚(?)」騒動も幕を閉じた。
私の中で、少し糸がほぐれた気がした。
そして、私が経験した中で、一番の絶望、そして一番の恐怖だった、
”あの恐怖”つまり

”自らが見たものを、自らが信じられない”事・・・。

「オコジョに感謝しないといけないかもな・・・いや、ハクビシンか(微笑)?」

モーニングスター(玉だけ)はいつでも手に取れるところに飾っておくことにした、
”部屋の隅の何処か”の鉄の塊は、インテリア(?)へと昇格。
三匹はもう来なかった。冬になるとまたやってくるかもしれない、季節は春が近かい。
私も新たな一歩を歩みながら・・・


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