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牛の首7 呪いの頭蓋骨

 私は、今日泊君の話を聞いていて、段々と寒気を感じていました。
 すぐに今日泊君の話を止めさせるべきでした・・・

 「何とか生き延びた牛ノ首衆は、織田信長に身を寄せたんだ」
 「信長は、牛ノ首衆の力を利用するため、本願寺に復讐するための協力を惜しまないと、生き残った牛ノ首衆達に約束したらしい」
 「そして信長は、牛ノ首衆のため、大勢の生け贄や死体を用意してあげたそうだ」
 「それからというもの牛ノ首衆達は、毎日、恐ろしい儀式を続けたんだ」
 「その悲惨な光景を見た人達は、道徳的な話をし、牛ノ首衆達に儀式を中断するように説得したらしい」
 「でも牛ノ首衆達は、仏法めいたことなど聞きたくもない。」
 「どうしても、そんな話を俺たちに聞かせたければ、俺達が死んでから御経でも唱えやがれ、と言い捨て、儀式を中断しなかったそうだ」
 「そして牛ノ首衆達は、信長に沢山の加工した頭蓋骨を献上したらしい」
 「その頭蓋骨に宿る怨念は、凄まじく、信長に敵対する人々を次々に病気にさせたり呪い殺したそうだ」
 「頭蓋骨の怨念は、使えば薄れていくため、牛ノ首衆達は、信長のために、たびたび呪いの頭蓋骨を作るようになったんだ」

 牛の首8 信長の死

 私は、今日泊君の話を聞いているうちに、後ろから誰かの視線を感じていました。
 あの時は、「気のせいだ」と自分にいいきかせていましたが、今は、あの時に感じた視線は、決して気のせいなんかじゃないことを知っています。

 「呪いの頭蓋骨を持つ信長には、村正の怨念すら通用しなかったそうだ」
 「村正は、凄まじい怨念が宿っており、妖刀と恐れられた日本刀なんだけど・・・」
 「村正に興味を無くした信長は、家臣の秀吉に褒美として村正をくれてしまったそうだ」
 「秀吉は、村正のせいで色々な怪奇現象に遭遇し、ビビッタ秀吉は、すぐに村正を手放したらしい」
 「武田信玄や上杉謙信も、信長が呪いの頭蓋骨を使って呪い殺したのかもしれないな」
 「信長は、茶会の時に、朝倉義景や浅井長政の首で作った、呪いの頭蓋骨を客人に見せびらかし、自慢することもあったんだ」
 「それだけ信長は、呪いの頭蓋骨に絶対の自信を持っていたんだな」
 「でも信長は、天下統一を果たそうとしていた矢先、牛ノ首衆の力を自分以外の人間に利用されることを恐れ、牛ノ首衆を一人残らず殺してしまったそうだ。」
 「しかし、それから間もなく信長は、家臣の明智光秀が謀反を起こし、殺されてしまったんだ」

続く