[サリーさんの占い]

30年程前から地元の駅前に夜になるとたまに現われる占いの婆さんがいた。

その婆さんの占いはよく当たると評判で、地元の人間達は彼女を「サリーさん」と呼んで親しんだ。

※(魔法使いサ〇ーが由来と思われ、某メリーさんとは関係ない)

いつも閉店後の銀行の前に簡素な机と椅子、そして提灯に「目」のマークと「3千エン」の文字。
サリーさんの占いは「道具」を使わない。
相手の顔を黙って見つめるだけで占うのだ!

何よりも変わっているのはサリーさんは耳が全く聞こえないという事。
だから相手の相談を聞く事も出来ないし、喋る事もできない。

客は黙ってサリーさんの前に座り、3千円を支払う。
そして2〜3分サリーさんが客の顔をニコニコしながら見つめた後、
あらかじめ用意してあった茶色い封筒が渡される。
サリーさんは封筒の上にマジックで「開封日」を書く。
これで占いは終わり。

だがルールがあり、たとえば開封日を「四月二十日」と書かれたらその日まで封筒は開けてはならない。
おそらく運命を先に知ってしまえば占いは成立しなくなるという所か。

・・・これが「サリーさんの占い」です。

さて・・・サリーさんの封筒の中にはどんな事が書いてあるか?

例としては
「急な出費があり困るが借金をしてはならない。金は二階の寝室の本棚にある。
捨てようと思っている雑誌の間を探してみなさい。」
とか
「家出した猫は今夜帰ってくる。縁側のガラス戸を少し開けておきなさい。
さもなければ近い内に轢死する。」
とか
結構具体的で、よく当たる。
なぜ?まるでその人が占いに来るという事ですら最初から分かっていたかのようだ。

・・・さて、ここからが洒落怖話になるんだが
実は私も今から10年以上前、サリーさんに占ってもらった事がある。
友達と二人でそれぞれ占ってもらった。

私の封筒には「七月九日」
友人の封筒には「七月八日」と書かれていた。

その時まだ4月だったので、開封日はまだまだ先であった。
・・・しかし!アホの友人Bは、あろう事か、待ちきれずすぐに封筒を開けてしまった。

封筒の中には白い紙切れが一枚。
・・・何も書かれてはいない。
「だまされた!!」
友人Bは怒って、封筒と紙切れを丸めて捨ててしまった!
(まあ高校生にとって三千円は大金だけどね〜)
続く