[先輩の彼女]
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気になったので昼過ぎに二階の先輩と同じ部署のヒトに話を聞きに行った

「え?○○なら気分が悪くなったって昨日昼頃帰ったぞ・・・」
オレは昨日女のヒトが入ってきたことや金縛りになったことを話した
そのヒトは急に顔をしかめ
「お前聞いていなかったのか・・・あいつの女の一人が自殺したらしいんだ・・・
オレも詳しくは知らないんだけどな、それでアイツ最近ふさぎこんでいたろ?」

月曜日になっても先輩は寮に帰らなかった

とうとう無断欠勤が続いたので会社側もその先輩の実家などに連絡を入れることになる
実家の方にも連絡が行っていなかった
行方不明である
親は警察に捜査願いを出したとのことだ

それから一ヶ月ぐらい経ってから先輩の実家から辞職願いが出された
先輩は発見されたものの精神を病んでいてとても復職できる状態ではないとのこと

先輩の両親がオレの部屋に荷物を取りに来ることになった
一ヶ月間オレは怖くて隣の部屋はなるべく近づかないようにしていた
(寮を管理してる総務課のヒトが部屋に来てもオレは覗かないようにしてた)

先輩の両親は衰弱しきっった様子でオレに挨拶に来た(オレは総務のヒトから
かぎを預かっていた)

オレは先輩にお世話になった身でもあり、荷物を運ぶのを手伝うことにし
部屋の鍵を開けた(部屋は先輩がいなくなったそのままにしておいてある
事件性があった時の為だ)

綺麗好きだった先輩の部屋はよく整理してあった

部屋の中央に炬燵があって二つのコーヒーカップが置いてあった
一つは飲み干されていて、もう一つはコーヒーが入ったままである

オレはコーヒーの入ったままのカップのそばに長い髪が落ちているのを見つけた
あの日の事が鮮明に蘇ってきた
『オレが見た女のヒトのモノだ!』

オレは両親に詳しいことを聞きたかったがそんな雰囲気ではなく
淡々と荷物運びを手伝った

オレはその後、寮を出て会社もしばらくして辞めた

先輩がその後どうなったか気になったが今となっては知るすべも無い


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