[シチトウ]

長い話になるので、何日かにわけて書き込むことになりそうなのでまず御了承下さい。

私の祖母は大変花が好きな人で、庭にはいつもたくさんの花が咲いていました。
私は小さい頃から花は好きなのですが虫が苦手で、家の中から庭を眺めることはあっても庭に出ることはほとんどありませんでした。
ある日小学校から帰ると家の中には誰もおらず、ふと庭を見ると祖母が花に水をやっていました。
誰もいない家にいるよりは…とそっと庭へ出ました。
祖母はすぐに私に気付き、めずらしいね、みたいなことを言いました。
私は、虫にびびりながらも好奇心から庭をうろうろしました。

庭はそれほど広くないのですが、大小の庭木が規則性なく植えられていて死角になるところはたくさんありました。
おばあちゃんは私に絶えず声をかけ、話をしていました。しかし私は生返事を繰り返し、小さな死角が秘密基地のように思えて夢中になってしまいました。
そして庭の隅にある葉っぱのたくさんついた庭木(あまり詳しくないので何かわかりませんが)のむこうに広いスペースを見つけました。

そこはちょうど裏庭のようなところとつながっていて、壁と家に挟まれた入り口(庭木にさえぎられてちょっと見たくらいじゃきづかないような隙間)の奥は大人が入れるくらいのスペースがありました。
そしてそこには見たことがないような花が咲いていました。

黄色で、花びらがたくさんついていて、花びらがあつまってピンポン玉くらいの大きさの球になっている花でした。
そして、風邪もないのにその花がふわりとこっちをむいて、今思うと不気味ですが私は無感動に見つめ、行かなきゃと、ただそれだけを思いました。
庭木をがさがさと通り抜け、間近で花を見ると私は一本を引き抜き口のなかへ入れました。
食べなきゃ、タベテ、食べるよ、タベテ。
と、自分と何かが会話しているようでとまりませんでした。
花は生臭く、気持ちわるいのに私は噛み締め、食べていました。

たぶんそれは一瞬の出来事で、祖母は私が花を飲み込んだところで飛んできました。
『食べたが!?吐かれ!あぁシチトウが…』
祖母は私の口に指をいれ、吐かそうとしましたが、はけず、私は意識を失いました。

続く