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そしたら厚化粧おばさんが、俺が酔っぱらっているのに気
づいたらしく、
「お兄さん、お酒もあるわよ」
と片目でウィンクしやがった。場末のホステス婆さんかよ。
「い、いいです。セブンスターください」
あわててそう言ったら、また禿げカーネルおっさんが、
「タバコもオリジナルしかないんですよ」
と、おおげさに両手を広げ、ニタリと笑った。

俺は言っている意味がわからずキョトンとしてると、禿げ
カーネルは自分でタバコを取り出して、一本くわえると火
をつけた。そして思いきり煙を吸い込むと、鼻をつまんで
肺のなかに煙をためこみ、そのまま呼吸を止めた。それか
ら一気にブハ〜と煙を吐き出した。
「いいハッパ使ってますよ」
おっさんは俺に吸いかけのタバコを差し出した。その眼の
焦点が定まっていない。油紙を燃やしたような、某クラブ
で嗅いだことのある匂いだ。マ、マジですか?!

そのとき、店の奥から女の声がした。
「パパァ〜、あたしにもそのお客さん回してよ〜」
カーネルの娘なのか、30過ぎの女が超ミニスカで網タイツ
の脚を組んで椅子に座っていた。
「そんなんじゃ売り上げ、ちっとも上がんないじゃん」
女も同じタバコをくわえ、俺を見つめながら、大きくひら
いたTシャツの胸元を強調するかのように突き出した。
30過ぎて鼻ピアスだ。眼もイッている。
厚化粧おばさんが愛想笑顔で言う。
「ウチの娘、あっちもの方も上手なんですよ・・」

続く