[魔のコーナー]

府中の東京競馬場の3コーナーから4コーナーの間にはすみついている。
昭和48年の天皇賞で、大本命視されていたハクホウショウがその魔の
コーナー間で突然、ガクッとのめり、騎手が降りてみると、左前足が折れて
ブラブラになっていた。
さらにこのコーナー間では14件もの怪奇現象が起きていた。カミノチドリ、
イサミダイオーなどの落馬、他に脱臼、骨折、鼻血、打撲などである。
なぜこんなことがおこるのか?それは「墓のたたり」である。
実際、魔のコーナー間のコースの横には墓がある。昭和4年に目黒から
移る際に、林と田んぼを造成していたら出てきた、という因縁物で、
井田是政の墓ということになっている。井田とはいったい誰か?という
ことも問題だったが、それより、墓をきちんと建て直すことになり、
3コーナーと4コーナー間に立て直した。その際、墓の傍らにあった
大きな木が邪魔だったので、労働者2人がその木を切り倒した。
その数ヵ月後に突然その労働者らは謎の急死を遂げる。

この事件は「墓のたたり」だとして、墓の機嫌を取ろうと、「是政特別」
なるレースも設けられるほどだったが、それでもたたりは続いた。
実際、3コーナーから4コーナーを走ると馬は骨折してしまうのだ。
これだけはどうしようも事実だった。
過去を遡ると更に新しい事実が浮き彫りになった。
府中に競馬場を移すことになったとき、建設を請け負う建設会社間で
激しい競争が起こり、刃傷沙汰の出入りに発展した。
結局、工事は清水組一組ということになり、このせいで、他の組から恨みを
買うようになり、工事の邪魔や殴り込みなどによって「血を見た」のである。
そうした現場での殺しは表ざたにならず、労働者の死体は競馬場に埋められた。
当然拝んでももらえないから成仏もできない。そこでたたって出てくるという
説があった。

続く