[呪殺]
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そんなふうにして応酬はどんどんエスカレートし、ムチャクチャな
バトルになっていった。最後にそいつは、

「最強の呪法でオマエを殺す!俺の死霊で必ずオマエを殺してやる」

などと書き込んできた。で、俺が

「ヨーシ!氏んでくれ、絶対になっ(w」

と返したら、もうそれからレスがなかった。
ザマーみろ、逃亡しやがった。

もっともバトルに勝利したとはいえ、俺はおもいきり不愉快だった。
おまけに隣の部屋からは、また不気味な呻き声みたいなのが聞こえ
始めて、もう気分は最悪だった。
壁を蹴とばしてやろうかと思ったが、我慢してその日は寝た。

翌日、下の階の住人が、天上から血がたれてきたって騒いで、
警察は来るわ救急車はくるわの大騒ぎになった。俺の隣室の男が、
手首やら首やらあちこち切り刻み、おまけに自分の舌まで噛み
切って死んでたそうだ。
俺も警官から事情聴取を受けたので、昨日の夜うめき声みたいな
ものが聞こえた事を話した。どうもそのときに手首とか切ってた
らしい。

で、その夜は隣の自殺の事を考えちまって、正直、電気消して寝る
のが怖かったんだけど、いつまでも起きてるわけにもいかないので、
むりやり蛍光灯の紐引っ張って寝たよ。
でも、やっぱり怖くて、なかなか寝つけなかったんだ。そうしたら、
どこからかブツブツいう声が聞こえてきて、おまけにチーン、チーン
という、例の奇妙なメロディの鐘の音がかすかに聞こえてきた。
冗談じゃねーよ。飛び起きて蛍光灯をつけようとして、闇の中を
ぶら下がっている紐を手探りしたら、何かを掴んだ。髪の毛みたいだ。
えっ?とおもって両手を伸ばして手探りすると、闇のなかにぶら下がって
いる逆さまの人間の頭みたいなものを両手で掴んじまった。
ええっ?おれが声をあげそうになった瞬間、だれかの手が、俺の喉首を
もの凄い力でガッと絞めてきた。その手はすさまじい力で俺の喉首を
絞め上げてくる。俺は絶叫しながら必死にもがいたが、鼻血がでて
くるのを感じ、意識が遠くなりかけた。

そのとき、部屋のドアをドンドン叩く音が聞こえた。大家がおれの
名前を呼んでいる。それだけ聞いて、おれは失神した。

続く