[目をカエセ(未完)]
【発覚】
2005年7月14日(木)、茨城県某市新興住宅地にて事件は発覚した。
3年前に新興住宅地として開発されたこの地には、約50世帯の家族が入居していた。
7月14日午後2時「1週間程前から隣家(A氏宅とする)からの悪臭がひどい。
留守の様だし、電話をしても出ない。なんとかならないか?」
という隣接住民からの通報により、市警察から2名が様子を伺うことになった。
到着した警察官2名は玄関先でも鼻につく、あまりの悪臭に吐き気を催した。
呼び出したが応答がない為、不審に感じた2名の警察官は庭に回り込んだ。
吐き出し窓のカーテンは閉じられていたが、中間部にかすかな隙間があった。
そこからのぞいた光景に2名の警察官は胃の内容物全てを一気に吐き出した。
【眼球】
本部通報により駆けつけた検死官の実況検分は壮絶を極めた。
リビングの床にはA氏の妻(32歳)、長女(8歳)、次女(1歳)
の3名が原型を留めない状態で血まみれの床の上に
「まるで物体のごとく」散乱していたのである。
その「おそらくは人間であったであろう肉塊」の横で、うずくまり放心状態の
A氏が天井を見つめ、涎を垂らしながら、「娘、娘の眼をかえしてくれ・・・」
と消え入るような声でただ繰り返していた。
その股からは糞尿が流れ出ており、ペルシャ猫が寄り添うように座っていた。
3名の死体にはある「記号性」が存在した。両目の眼球がないのである。
母親と長女の両目はすっぽりと無くなっていたが、
次女のくり抜かれた両目の横には、乾燥し腐乱の始まった眼球が2つ転がっていた。
しかし刃物等で抉り取られた形跡はまったくなく、その摘出方法については、
その後の捜査を待つこととなる。
続く