[添い着]
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その公園は中に滝があり、そこから幅広の川が流れていた。
例の殺人現場は赤い橋のたもとの浅瀬の岩肌が洗濯板のように
なっている所だった。ぐるっと見渡しても誰もいなかったので
僕はそこに降りてみようと遊歩道から川に降りる階段の方へ歩いた。
階段の所まで来ると橋の下が見えるのだが、そこにも人の姿はなく
代わりに妙なものが見えた。青いビニールシートにくるまれた
細長いものが浅瀬に置かれていたのだ。場所が場所なので
すぐに死体を想像してしまう。それは大人にしては短く、大体
僕と同じぐらいの長さに見えた。少し怖かったがまだ昼過ぎだし
好奇心が勝ってもっと近くで見てみようと思い、それでも
降りて行くのは怖いから橋まで戻って上から覗こうと思い、
走って戻って橋のたもとに着いていざ覗こうとすると何やら
下からがさがさ音が聞こえてきた。そっと手摺から頭を出すと
青い物体の側に2人の男が立っていた。僕はとっさに(やばい!)
と思って逃げようとした。その時、駐車場に続く遊歩道の方から
誰かがこっちに歩いて来るのが見えた。僕は慌てて近くの
ツツジの植え込みの中に隠れた。僕は小柄でこれまでに何度か
遊びで隠れたことがあったのだ。

歩いてきたのは男が三人と子供が二人…子供!?あいつらだ…
僕を置いてけ堀にした四人―山口・福田・辻田・大場―の内そこに
いたのは福田と辻田の二人だった。男達に囲まれて真っ青な顔を
していた。連中が橋まで来ると下から声がした。
「捕まえたか」
「一人逃げられました」
「…とにかく連れてこい」
男達は二人をせき立て遊歩道から無理矢理下に飛び下りさせた。
男達も続いた。視界から消えた。声も聞こえない。逃げるなら今。
しかし体が思うように動かない。万が一見付かったら逃げられるか
自信がない…。心臓は回りに聞こえるほど強く打っている。
そのまま長い時間が過ぎたように思えたが、実際は数分だったろう。
下から、
ドンッ ドンッ
と鈍い音が時を隔てずに二度聞こえた。
(殺されたんだ…)
僕はそう直感した。心臓は胸を突き破る勢いで動いている。
このまま僕も死ぬかもしれないと思った。

続く