[仏壇]

幼いころの記憶なので、
細かいところはよく覚えていないのですが。

僕の実家には大きな土蔵がありました。
先祖代代伝わってきた、
訳のわからない掛け軸とか、
扇子だ壺だとかが、
山ほどありました。

ある日、いいかげん古いものは処分しようと、
家族総出で整理をしました。

出てくる出てくる、
もう使い物にならないような花器や、
古びた箪笥、
なんでこんなもん取っておいたんよ、ってくらい。

僕はもうイヤになって、奥の方で探検をしていました。
そして一番奥に、
四角い箪笥のようなものがあるのに気がつきました。
「なんだよ、また箪笥かよ・・・」
と思いながら、近くに行くと、ちょっと感じが違います。
よくよく見ると、どうやら古びた仏壇のようでした。
「と〜やん!仏壇があるよ!」
父を呼ぶと、
「そんなアホな」
とか言いながら、奥に入ってきました。
そして、
「ほんとに・・・仏壇だなあ・・・」
父も、土蔵の奥にひっそりと置かれた仏壇に
目を丸くしていました。

「誰の仏壇だろなあ?」
父は首をかしげながら、
閉まっていた扉を開けようとしました。
しかし、1センチくらいは開くのですが、
それ以上は開かずに、
手を離すとすぐに閉まってしまいます。
まるで中から引っ張っているようでした。
父も僕も何回かチャレンジしましたが、
すぐにイヤになってしまい、
そのままにしておきました。

どうせ1日で全部片付くような広さでもなく、
またにしようという話になり、
この日は作業も終了となりました。

続く