[かっこいい除霊]
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女が滑るように近付いてくる。Aの方向ををこれ以上ない、恐ろしい笑顔で見ていた。
こいつを連れて行こう、みたいな、こいつなら気付かずに、見たいな・・・
やばい・・・とは思うものの何も出来ない。とうとう女がAの隣りまで来た。
「なあんてな。コイツやろ?」
「え?」
唐突に、いつもの口調と違うAは女をはにかんだ笑顔で指差した。
Aは女の顔に自分の顔を近づけ、面と向かって言い出した。
「おい、コラ。こんなトコで彷徨う事しか出来んのかお前は。
いい加減死んだ事に気付け、このアマ。」
ワンピースの女はもう笑っていなかった。
明らかに動揺した顔を2,3秒浮かべた後、ふっと消えた。
Aは最後に「そのほうがいい。」と呟いた。途端、雨が降りはじめた。
Aは唖然としていた俺達に向かって「ん?行こ、行こ。」と。
いつもの口調に戻っていた。
俺達はAと本当の友達になった。
後にAにあの時の事を聞いた。
「んー、ん、あれはな、でき、できんねん、なんかな。」
としか言わなかった。