[アンティーク着物]

うちの姉が以前、すごいアンティーク着物に凝ってた。
それこそ箪笥と行李を新しく買うぐらいに。
確かに見ていて綺麗だなーとは思うが、当時リア厨だった
俺には、何でそこまで買い漁るのかがさっぱりだった。
そんな一昨年のゴールデンウィーク頃、姉が京都にデートに行った帰りに、
昭和初期くらいの訪問着(と言ってた)を持って帰ってきた。
鶯色で梅とか松とか、おめでたそうな柄だった。
姉は「彼氏が選んでくれた〜vv」と姿見の前で羽織って大騒ぎ。
母と祖母も二人で「綺麗やわ〜」とか「ええ物やわ〜」と大騒ぎ。
俺はというと、和室で親父とごろ寝しながら騒ぎを聞いていたんだが、
いきなり姉母祖母が押し寄せてきて、親父ともども追い出された。
どうやら衣文掛け?に飾るらしい。
俺はふてくされて自室で寝た。

目が覚めると、既に午後10時くらいだった。
「うわー晩飯食い損ねたー」とドアを開けると、なぜか家中シーンとしている。
階段を下りると、まず食卓に、母と祖母がいた。
緊張した顔で、和室の方を見ている二人。
俺を見ると、厳しい顔で手招きする祖母。
なぜか手には肉切包丁。
さらに母の手にはすりこぎ。

次へ