[祝日のごみ
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が、
「いや、その時は迷惑だった爺さん婆さんだったんだけどさぁ。一応両隣りとかお向かいさんとかだし、付き合いをしないわけにはいかないのよ。
で、なんだかんだあったけど、いつもニコニコしているし、何にも気にしていません知りませんっていう風だから俺もつい平気でその爺さん達の家に菓子折りみたいなのを持って出掛けていったのよ。
五時過ぎの夕方だったのに普通に出迎えてくれて、家の中案内されたんだけど、壁が……
南向きの壁(つまり彼の家のある側)が妙にぼこぼこしてんのよ……日が暮れて電気がついてなかったから薄暗くて良くわかんなかったんだけど、気味が悪いから早々に辞したんだけどね。
で、次の人の家にいったらどうも爺さんが病気で寝込んでいるらしいの。だから雨戸とか閉めっぱなしで真っ暗なんだけど、婆さんが出て来て迎えてくれたから、一応あがって爺さんの所へ菓子折り置いて出ていこうとすると
『おう、おう、誰が来たんだぁ?』とか言うわけ。
『俺です。お見舞いにきたんですけど』とか適当な事言うと、『電気を着けてくれ』って言う。
俺はわかんないから婆さんに聞いたら、オール電化っつーの今のスイッチで家中のライトをコントロールできるやつだったの。んで、婆さんが一気に家中の電気を着けたら、やっぱり壁が……変だった。
北向きの所はべったりと真っ黒で、南側が小さいなんかよくわからないぼこぼこが浮き出た赤。壁一面赤黒かった。
うわっ、て思ってさっさと席をたつと家中南側の壁はぼこぼこの赤色。
手を触れそうになったけど気持ち悪いから止めたよ」
以来、Tさんは老人等と付き合いを経っているらしいが、最近、より迷信深くなって服装も家の外観も極彩色になって来ているらしい。私は、Tさんの家には、近付いていません。

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