[絵馬]
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「、、、?」
「こん中に遺書が入っとるとか、、、?」
「、、、!そうじゃ、きっとそうじゃ!うぉ、これ怖いw」
中に目的のそれが入っていると確信して妙にテンションがあがったオレらは、
そのロッカーみたいな、箱をはずしてみようとなった。
箱は掲示板には釘で打ち付けられているだけだったので、
みんなで引っ張ればはずれそうな気がした。
最初に、外に掛かってる絵馬を全部はずして、
車からもってきたマイナスドライバーで箱の打ち付けられている部分を持ち上げて、
指が入るくらいの隙間になってからみんなで引っ張った。
バキッ!と音がして箱が外れた。
「うぉ!外れた!」

中には明らかに他のものより古い、黒ずんだ絵馬が入っていた。
みんな最初は黙ってみていたが、オレは絵馬に顔を近づけよく見てみた。
何も書いてない、、、裏返してみると、字らしきものが書いてある、、、。
みんなも顔を近づけた。
「おい、火ぃ点けて。見えんわ。」
友達がライターの火で絵馬を灯す。

大好きなYさん
大好きなYさん
祈ったのに
離れて行った
裏切られた
許さない

「!!!」
みんな絶句した、、これは怖い!
「うぉ〜〜!怖ぇ〜〜〜〜!!!!」
テンションが上がったオレは調子にのってオーバーリアクションをしてしまった。
手に持っていた絵馬がオレが振った手に引っかかってポーンと飛んで行った。
「あっ!」
カツンと音を立てて落ちる絵馬。
オレは急いで拾い、すぐにもとの場所にかけた。
「、、、。やべ。」
「、、、さすが○○ちゃん。」
「いや、ホンマにわざとじゃないんよ、ちょっと調子乗ってもうて、、、」
友達に言い訳をしてもしょうがないのだが、なんだか怖くてそんなことを言った。
「ヤバいんかね?」
「、、、。ま、迷信じゃろ。なんもないよ、こんなもん。」
ちょっとビビりはじめたオレに気を使ってくれる友達にちょっとホッとしたその瞬間、

「こりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
ものすごい怒鳴り声!
オレは腰を抜かしてそこにへたり込んでしまった。
「また冷やかしかと思ったら、まさか外しおるとは、、、こんの馬鹿もんがぁ!!!」
いきなり怒鳴ったオッサンが神社の人だってのはすぐにわかった。
いい歳こいて、こんなところ見つかるなんて情けない、、、。
警察呼ばれたらヤバイかも、、、。
「すんません、、、。」X3
みんな謝るフリして、逃げるタイミングを目くばせして計ってた。
するとオッサンは、
「外したか?」
「あ、、。あの、、、はい。」
「箱外したんは見りゃ分かるわ!!絵馬じゃ!!絵馬は外しとらんじゃろうのぉ!!!」
「あの、、、ちょっとだけ、、、ほんのちょっと。すぐに戻しましたよ。」
「、、、。」
オッサンは押し黙って、フゥーッとため息をついた。
「だれなら?外したんは。」
「オレ、、、です、、。」
「ちょっと来い。」
「いや、ホンマにすいません。出来心で。箱も直しますから、、、。ごめんなさい、、、。」
「えぇけ〜、来い言うとろうが!」
オッサンはいかにも神社の人って格好をしているのに、まくしたてる様子はまるでヤクザだった。
オレは仕方なく、言うがままついて行った。
その時オレを置いて逃げようかどうしようか迷っていた友達の様子がとても憎らしかった。

結局友達2人もついてきて、オレらは神社の裏手の建物の中に連れてこられた。
「さてと。」
オッサンは正座しているオレの前にしゃなりと座って、じっとオレの目を見た。
顔が怖くて目をそらしたかったが、そらしてはいけないような気がしてオレもオッサンの目をじっと見ていた。
しばらくして、
「あんたぁ、男前じゃの。」
「は?」
「彼女はおるんかい。」
「え?、、、ええ、一応。」
「好きなんかいの。」
「???、、、、ええ、まぁ、、。」
訳のわからない質問に困惑したが、なんとなく心配になって聞き返した。
「あの、、、彼女がなんかまずいことにでもなるんですか?」
「ん〜、もしかしたら調子壊すかもしれん。」
「えぇ?なんで?」

「あんたぁ、あそこまでしたんならあの絵馬が何か知っとるんじゃろ?」
「えぇ、噂で、、、。」
「あの絵馬があそこにかかっとるうちはの、女も悪さはせん。決して安らかな訳ではないがの。外すととたんに悪さをするんじゃ。自殺したもんもおる。」
「、、、、。」
オレは絶句した。
「オレらもヤバいんですか?」
後ろの友達2人が聞くと、
「ちょっと外れたくらいなら、あんたらは大丈夫じゃ。でもあんたは、ちょっと悪さされるかもしれん。あんたぁ男前なけー、もしかすると女を狙われるかもしれん。」
「ちょ、ちょっと、どうすればいいんですか!?」
幽霊なんか信じない。そう信じていたオレは、もう完全に霊の存在を肯定していた。

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