[トラックの荷台から]
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後日談です。
出社したさらに翌日。警察の方から出頭要請がありました。なぜか社長も一緒です。
警察の方に聞いた話は衝撃的でした。当初先輩の自殺理由は誰も思い当たらなかったんです。
独身ですが一応カノジョもいるし、とても明るくて職場のムードメーカーでもありました。
家族や友人に聞いても誰も思い当たるふしはない。突発的な自殺、ということで片付けられる
ところだったんです。しかし自殺動機が警察の方で浮かんだと言うのです。
先輩は自殺前々日の夜、飲みに出かけたらしいのですが(家族談)帰ってくるとすぐに出勤
したそうです。いつもより数時間はやく。
そしてその日。先輩の走ったコースの途中の山間部で老人の遺体が遺棄されているのが
見つかったそうです。遺体は損傷がひどく検死の結果交通事故に巻き込まれた可能性が高い
ということでした。そうです、先輩が配送の途中でそこに遺棄したのです。
警察の調べで先輩の車のバンパー部分にあり、その部分の塗装と遺体の衣服に付着していた
塗装が一致したということでした。
警察の要請で会社のトラックを調べたところあるトラックの荷台内の床から血液反応が確認
されたそうです。
そのトラックはあの日オレが乗ったトラックでした。
あの叩く音が先輩の霊だったのか事故の被害者の霊だったのか、はたまたオレの気のせい
だったのかはわかりません。いえ、もうどうでもいいです。
ボクは次の日会社を辞めました。もう2度とトラックには乗るつもりはありません。
最期に。長々と書きこんでしまいましたが読んでくれた人、ありがとうございました。
ウチの方は田舎で車がないとなにも出来ないような土地柄なのですが、オレは出来るだけ
運転はしないようにしています。あのドンドンドン!という音が忘れられないとていうのも
ありますが先輩の死後、お悔やみに行った時の家族やカノジョの顔。絶対に忘れられません。
車を運転している以上何時何処で殺人を犯してしまうかわかりません。
この話をする事でオレが伝えたかったのはその事です。
これを読んでくれた方。どうか車の運転には気をつけてください。
欺瞞かもしれませんがみなさんがこれで少しでも安全運転を意識してくださればきっと
被害者の方の供養にもなると思います。稚文な上に長文失礼しました。