[事故現場]


昨年の九月、俺は徹夜続きで仕上げた仕事が要約終わり、まとまった休みを取る事ができたので、仕事仲間とツーリングに行く事になった。
目的地は箱根の十国峠で、家から片道二時間位なので、遅くても日が沈む前には帰ってこれるはずだ。
当日の朝、朝食を家族と取っていると、母親が変な事を言い出した。
母「今日バイクでどっか行くの?」
俺「あぁ、ちと十国峠まで行ってくる」
母「そうかい、どうしても今日じゃなきゃダメなのかい?」
俺「?、友達と約束だからな。でも何で?」
母「何か胸騒ぎがするんだよ…しかもバイクは危険だろ」
俺「気を付けるから大丈夫だよ。ほら、今日は晴れてるし問題ないって」
母「まぁ気を付けるんだよ」
なんて話をしながら朝食を済ませ、待ち合わせ場所に向かった。

この時、母の言うことを聞いていれば…あんな事にはならなかっただろう

家を出て10分くらいで待ち合わせ場所に着く
すると仕事仲間のしんちゃんは、まだ来ていないようだった
俺は近くの自販機でコーヒーを買い、煙草を吸いながら待った
15分くらいしてから、しんちゃんはやって来る
「わりぃわりぃ」
とか心のこもってない謝罪をされたが、彼は結構時間にルーズなので、俺も慣れていた
早速バイクに股がり出発する
平日だったので、道路は比較的空いており、スムーズに進んだ
一時間くらい走ると湯元を過ぎた
これからは山道が続く
すると、さっきまで晴れていたのに、急に曇が出始めてきた
雨は降らなそうだったが、ガスが出るとやっかいだ
俺は近くのコンビニ
ごめんな携帯だから遅くなる

しんちゃんと話した結果、目的地まで行き、軽く食事をして帰る事にした
しばらく山道を登ると、反対車線のガードレールがグシャグシャで花束が添えられてる場所が目に付いた
この辺は急カーブがあり、峠を攻める輩が多い場所だった
きっとそこも事故現場だったんだろう
それを見たチキンの俺は少しスピードを落として、しんちゃんに前を譲った
そして、要約十国峠に着く頃には、案の定ガスが掛ってきた
俺は早く帰りたかったのだが、彼は相当腹が減ってるらしく、食事をしていくときかない
仕方がなく、レストランで食事をして帰る事になった
食事が終わり帰る頃には、かなりガスが濃くなっていて10m先を見るのも難しい状況だった

かなりガスが出ているので、スピードを出さないようにして、ゆっくり帰る事にした

帰路を走っている途中、一人の男性が歩いていた
この道は有料道路で、人が歩いているという事はあまりない
俺はバイクを止め、男性に話し掛けた
その男性は20代後半くらいで、髭を生やした痩せ型だった
話を聞くとどうやら車が事故を起こして、上のレストランに電話をしに行くらしかった
しかし、ここから歩くと結構距離があるので、事故現場まで後ろに乗せていき、俺の携帯から電話する事にした
そして、彼を乗せて坂道を少し下ると、黒いワンボックスを見付けた
どうやら、これが彼の車らしい
俺はバイクを車の後ろに止め、彼を下ろす
そして、事故状況を確認しようとして俺は愕然とした
フロントガラスは割れ、かなり前が潰れている
こんな状況で良く助かったものだ

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